読み始めたら、止まらなかったです。文章の巧みさもさることながら、心理描写がうますぎます。情景も、映画のように浮かんできます。本当に歌舞伎か映画を見終えたような心地でした。最後は思わず泣きました。ぜひ、皆さんにも読んでいただきたいと思います!
凄惨な光景が当たり前に転がっていた時代、理不尽に生きる道を乱され、壊された者同士がその傷を絆へと変えていく。恨み、妬み、人の醜さに辟易としながらも生きる事を強いられた男。幸せを壊され、縋るものをなくし偽りの優しさに縋りついた人外の稚児。童女は女と変わり、男は迷い、惑う。幸せとは何か、感じ、考え、自分を振り返りたくなる切なる物語り。きっと、本当の救いとは神にも、怪異にも叶え得ず。互いを受け入れてこそ───……深く、深く考えさせられるお話でした。