あの日一言伝えていたら

@aoijitensha

第1話 片想い

大学生になった

あこがれの大学に入学した

友達もそれなりにできた

サークルにも入り、バイトも始めた

充実したキャンパスライフを送るはずだった

でも、計画通りにはいかなかった


勧誘されて断れずに入ったサークルは、大学生活の8割を占めていた

やめることは許されないそんな場所だった

サークルに嫌々通う日々


そんな毎日の中にひとつだけ楽しみがあったそれは私が密かに片想いをしているバイト先の同級生に会うこと。


シフトが被ったとき心の中でガッツポーズをしていたのは私だけの秘密…


「おはよう、今日も忙しくないといいね」


「おはよう、雨だからお客さん少ないんじゃないかな」


ひとこと話しただけでその日はとても幸せな気持ちで過ごせる。

好きな人の力はすごいななんて思いながらバイトをしていた。


彼と出会ったのは中学生のとき

同じクラスになったことはなく、話したこともなかったのに彼は私を知っていた。

優しい声、話し方、笑顔、全部が好きだった。

中学校で彼と同じクラスになっていたら、私は間違いなく好きになっていたと思う。


もっと話したいのに緊張して上手く話せないこともたくさんあった


それだけ彼が好きだった


バイト先の飲み会で隣の席になった

お酒が飲めない私はいつもオレンジジュース

先輩にお酒を薦められることもあったけど、隣の彼が無理しないでいいよと庇ってくれる


だめだ… もっと好きになる


気がつけば大学生4年生

就活も終わり、あとは卒業するだけ

私は県外で就職する。

卒業したらもう会うことは無くなるんだろうなと寂しい気持ちになった。


「すき」


この2文字が言えない。


たった一言伝える勇気があれば、君の特別な存在になれたのかな


言い出せなかったのにはもう一つ理由がある

かわいいあの子の存在だった




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