第13話 最終回
NOOOO!
「どうした?」
「弓道部の部室にゴキブリが出た」
絶叫する正美さんであった。
と……言うお話であったとさ。
まさかの最終回?
「落ち着け。まだ、地区大会での無双イベントが未消化だ」
木舞部長がわたしの肩をブルブルと揺する。
「こんなの嫌だよ……」
妹のみつかが泣き出す。
その姿は課金で爆死した様に悲惨なものであった。
「ゴキブリが出て、皆、動揺している。この邪悪なる存在を討てば最終回イベントを回避できるかもしれない」
武器はハエ叩きとゴキジェットである。
「フォーメーション、Eで行く」
木舞部長の指示を受けたわたし達はゴキブリに襲い掛かる。
しかし、ゴキブリの足は速く、戦況は難航するのであった。
「これって、最終回のノリだよね」
正美さんがポツリと呟く、その言葉に皆の手が止まる。
そのスキにゴキブリは逃げ去るのであった。
絶対的な絶望感が辺りを包む。
そう、ゴキブリに人類は敗戦したのだ。
「終わった……」
きっと、この純正ギャグ小説は悲劇的な終わりかたをしたと言い伝えられるだろう。
その時である。足元にある、ゴキブリホイホイに目が止まる。
「おおおお」
ぴくぴくと動くゴキブリが居た。
大逆転である。それからは皆でハイタッチの連打である。
そう、このお話は最終回である。
「おばちゃん、もっとお話し聞かせて」
わたしは今、孫子の面倒を見ている。
高校時代の皆で笑いあえた日々を語っているのだ。
きゅうぱら~弓道パラダイス~ 霜花 桔梗 @myosotis2
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