第12話 お使いイベント
「おーい、弓道部、暇さそうだな」
わたしに声をかけてきたのは剣道部の部員である。
「あ、暇ではあるがすることはある」
嫌な予感がしたので適当にあしらって逃げることにした。
「ま、話だけでも聞け。今は使っていない、写真部の暗室に予備の防具があるそれを剣道部に運んで欲しい」
あー簡単なお使いだ。
ひと昔前のRPGのお使いイベントくらい嫌な気分だ。
「残念、これから、親の挙式のリハーサルだ」
剣道部の部員がわたしは残念人だと同情をかう。
やはり、嘘には限界があるか。
「あー今の嘘、暇だから手伝うよ」
……更に残念そうな顔をされた。
えーい、面倒臭い、ここは弓道部を全員招集だ。
集まった面子は一様に不機嫌だ。
「確かあの暗室、出るって有名な場所だよね」
木舞部長が嫌そうに話し出す。
「はい、木舞部長、心霊写真を現像して呪われたとか」
正美さんが簡単に説明する。
「あーわたしは世代的に暗室で現像ってなに?」
妹のみつかが質問する。
「何を天然な事を言っているのだ?同じ現代の高校生なのだから皆、写真の現像など見た事がないはずだ」
木舞部長が真面な事を言う。
「お姉ちゃん、悔しいよ、年下キャラだっていうのにバカ扱いされた」
「よしよし、みつかは悪くない」
わたしはみつかの頭をナデナデする。
喜ぶみつかは機嫌を直していくのであった。
「それで、弓道部は手伝ってくれるの?」
剣道部の人が小首を傾げている。
「へいへい、働きますよ」
全員、渋々動きだす。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます