第11話 パンツ

 ある日の夕刻の事である。

「お姉ちゃん、わたしのパンツ履いたでしょう」

 うん?ポリポリと頬をかきながらパンツを確認する。

 確かに見かけぬイチゴのパンツを履いていた。

「わりい、わりい」

 わたしはクランクに謝ると。妹のみつかは怒っている。

 仕方がない、わたしは、スカートからパンツを脱ぎ捨てる。

「雑に扱わないでよ」

 この妹なる生物は時に怖い。パンツの一枚で激怒だ。

 わたしは渋々、自分の新しいパンツを履くのであった。

 その時である。カーテンのすき間から黄昏の日差しが差し込む。

 妹のみつかのパンツに光があたるのであった。

「おおお、神が降臨した!」

 それは崇拝の対象のごとく光輝いていた。

 そう、ここで下品な話にすると生々しいのである。

 光輝くパンツはそのまま、洗濯機に入れられた。

 おわり。

「終わらせないで!」

 やはり、激怒している、妹のみつかである。

「洗えと申すか?」

「当然でしょ」

 ここは姉としての尊厳にかかわるものだ。

 わたしは渋々洗濯機を回す。

 パンツ一枚に洗剤少々だけの極めて無駄に近い行為である。

 翌日の朝にはパンツは乾いていた。

 はーぁ……。疲れた、下品ギリギリのネタなのに凄まじい脱力感であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る