花は桜木、人は武士。妖、幽霊、恨み骨髄。さりとて人は花に惹かるる。日本の怪談話と風流とが合わさった、時代劇、と言うよりも絵巻物、と言う感じのなんとも不思議な物語でした。
旅と料理を愛する人。
何故男はそこに至ったのか。何故女はそこにいるのか。全ては桜の咲く様と共に繰り広げられる、そんな遭遇の物語。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(127文字)
短編らしいシンプルな構成ですが、印象的なシーンがいくつもあって読後にその風景が刻み込まれる、そんな作品です。最後のシーンも良かった。このまま続編に突入してほしいと思えるような一作でした。
幽玄という言葉は、作者のためにあるような気がします。別作品も読ませていただいておりますが、作り出す雰囲気が、神秘的であり時に不気味でもあり、読む者を捕らえてやみません。
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