笑いの波状攻撃と肩パッドが素晴らしいファンタジー

現実世界に突然現れたダンジョンを舞台としたファンタジーですね。ダンジョンはいわゆる迷宮のようなものからとんでもないものまで、色々飛び出してきます。

この作品の魅力は文句なしに「ギャグ」でしょう。笑いたい時に読めば笑えますし、「今日こそ笑わないぞ」と心に決めていても笑えます。特に様々なモノの名前が毎回面白いですね。過去作を知っていると思わずニヤリとできる要素もあり、遊び心があふれています。

また、世界観や作品の構成もお見事です。
長編作品を読み続けるにあたって「読者の、主人公に対する好感度」はとても重要な要素となります。この物語の主人公はノリが良いだけではなく、初めてダンジョンへ入る前にはしっかりと準備を整え、非日常の世界へブチ込まれたあとも真っ先に日常生活の心配をしたりと、地に足がついた好人物です。それゆえに、個性的すぎる面々とのやりとりが面白く、私も読んでいて彼を応援したくなります。

いわゆるテンプレ系と呼ばれる要素を題材にした作品なのですが、それらに対するアンチ作品というよりも、上手くリスペクトしつつ笑いに昇華されています。そのあたりの心遣いもお見事ですね。

ギャグを主軸にしつつ、素晴らしい要素がたくさんある作品ですので、ぜひ多くの皆様にお読みいただきたいですね。オススメです。

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