ステータス画面は美女!?最強無双の聖剣(?)とダンジョン探索!?

三国洋田

第1話 起きたら美女がいた

 朝起きたら、見知らぬ美女がベッドの側に立っていた。


 美しく輝く艶のある金髪をポニーテールにしている。


 気が強そうな感じの青いつり目。


 長身でスタイルが非常に良い。


 いや、抜群であると表現すべきか?


 出るべき場所が、とてつもなく出ている。


 容姿端麗などの美しさを表す言葉が、すべて当てはまりそうな美女だ。


 ただ、とてつもなく変わった服装をしている。


 赤いジャージの上下、銀色の金属製と思われる胸当て、茶色い昔ながらの腹巻、とげの付いた肩パッドを身に着けているぞ。


 なんでそんな格好をしているのだろうか?


 よく分からんセンスだなぁ。


 まあ、どうでもいいか。


 趣味は個人の自由だからな。


 この人は、ああいったファッションが好きなのだろう。



 ところで、この人は誰なのだろう?


 なんで俺の部屋にいるんだ?


 招いた覚えなんてないよな?


 ということは、不法侵入者?


 通報すべきか?


 だが、なぜか悪人だとは思えないんだよな。


 とげ付き肩パッド以外は。


 ひょっとしたら、何かやむを得ない事情があるのかもしれないな。


 ちょっと聞いてみようか。


「おはようございます。何がご用でしょうか?」


「おはよう。今のお前のレベルは『よわヨワ弱よわ、よわヨーワ、うわっ、私弱すぎっ!?』だ」


「いきなり何を言っているんだ!? それはどういうことなんだよっ!?」


「今のお前のレベルを言っただけだが、何が疑問なんだ?」


「レベル!? なんだそれは!?」


「強さの度合いだな」


「だから、なんだよ、それは!? 意味が分からんぞ!?」


「そう言われても、そうとしか言いようがないな」


「そ、そうなのか……」


「他はHPが『へなへなヘナヘナへなちょこチョコりんりん』で、MPが『なんと驚きのゼロ円、ゼロ円です!』だ」


「はぁっ!?」


 なんじゃそりゃぁっ!?


「攻撃力は『へっぽこポコポコぽっこぽこ』で、防御力は『ぺらぺらペラペラぺらぁペラ紙』だ」


「ええっ!?」


「素早さは『ノロノロおそおそギックリ腰が痛い』で、器用さは『一回の皿洗いで皿を二〇枚割るくらい』だ」


「意味が分からなさすぎるって!? それに俺はギックリ腰ではないし、そこまで不器用でもないぞ!? 二〇枚も割ったことなんてないって!!」


「私にそう言われてもな。ステータスではそうなっているのだ」


「だから、なんだよ、そのステータスってのは!?」


「お前の能力を、とてつもなく分かりやすく表した素晴らしいものだ」


「全然分かりやすくねぇよっ!?」


 なんなんだ、こいつは!?


 いったいどういうことなんだ!?


 やっぱり通報した方が良いのか!?


 いや、待て、まだ何も事情を聴いていないぞ。


 通報はその後で良いだろう。


「ええと、君はなぜここにいるんだ?」


「お前が出したからに決まっているだろ? 何を言っているんだ?」


「い、意味が分からなさすぎる…… 俺が出したって、どういうことなんだよっ!?」


「お前が寝ている時に『ステータスオープン』と言ったから出て来たのだ」


「俺、そんな寝言を言ったの!?」


 寝言とはいえ、恥ずかしすぎるだろ!?


 何をやっているんだよ、俺!?


「って、それを言ったからって、人が出て来るなんてありえねぇだろっ!! いったいどういうことなんだよっ!?」


「そこは私にも分からん」


「そうなのか」


 なんなんだ、これは!?


 いったい何が起こっているんだ!?


 ちょっとネットで調べてみようか。



 な、なんだこれは!?


 地球中にゲームに出てくるダンジョンみたいなものが出現した!?


 原因は不明!?


 内部には容赦なく襲いかかってくる敵、凶悪なわな、お宝が盛りだくさんで一獲千金の大チャンス!?


 おっ、動画がある。


 ちょっと見てみようか。



 なんだこれは!?


 空中に黒い円が浮いているぞ。


 ええっ!?

 中に入ったら突然洞窟のような場所になった!?


 これがダンジョンなのか!?


 ん?

 映像が乱れて、悲鳴が聞こえてきたぞ。


 撮影者に何かあったのか!?


 えっ!?

 終わった!?


 これで終わりなのか!?


 何が起こったんだ!?

 撮影者はどうなったんだ!?


 そこに関しては、何も記載されてないな。


 まあ、いいか。

 動画があるということは、無事なのだろう。


 多分。


 では、もっと調べてみよう。



 はぁっ!?

 日本政府がダンジョンに関する法律を三秒で作った!?


 ダンジョンは自己責任で入っても良い!?


 中で入手したものは国が買い取ってくれる!?


 日本政府、仕事早いな!?


 非常事態だからなのか!?



 えっ!?

 『ステータスオープン』と発言する、もしくは心の中で唱えると、ステータスを教えてくれる何かが出現する!?


 その後『ステータスクローズ』と発言する、もしくは心の中で唱えると消える!?


 再度出現させることもできる。


 あいつはこれだったのかよっ!!



 な、なんだと!?

 特殊能力が身に付いているだと!?


 ステータスを教えてくれる何かに尋ねると、能力を教えてもらえる!?


 こんなのもあるのかよっ!?



 なんなんだ、これは!?

 とんでもないことになっているじゃないか!?


 俺が寝ている間に、世界変わりすぎだろ!?


 まるで異世界に転移したみたいだな!?



 さて、どうするか?


 一獲千金の大チャンスらしいし、ダンジョンに行ってみようかな?


 ちょうど良いってわけではないけど、この前、仕事をクビになってしまったうえに、再就職に失敗しまくって、途方に暮れていたところなんだよな。


 しかも、世の中不景気で、今後就職できるとは思えないしな。


 いや、でもなぁ、敵や罠が大量に出て来るところなんて、やはり怖いよなぁ……


 うーむ、どうする?

 やるか、やるまいか?


 そういえば、まだ特殊能力について尋ねていなかったな。


 俺にもあるのだろうか?


 ちょっと聞いてみよう。


「特殊能力か? 身に付いている」


「えっ!? あるのか!? どんな能力なんだ!?」


「簡潔に述べると、聖剣を出す能力だな」


「聖剣!? おおっ、カッコイイじゃないか! それにとてつもなく強そうな能力だな!! やったぞ、大当たりだ! これならダンジョンで稼げるかもしれない!!」


「正確には『たたくとブミブミと鳴いて素直になる聖剣、ワカラセのむちを出す能力』だ」


「な、なんじゃそりゃぁぁぁっ!? 聖剣ワカラセの鞭!? 変な鳴き声だし、剣じゃないし、なんだか邪悪な感じがするじゃないか!? どういうことなんだよっ!?」


「それを私に言っても意味がないな」


「そ、そうなのか……」


 なんでこんな能力が身に付いたんだよ!?


 訳が分からないぞ!?


「他の能力もある」


「えっ!? まだあるのか!? どんな能力なんだ!?」


「『ステータス令嬢を出す能力』だ」


「ステータス令嬢!? なんだそれは!?」


「今の私のような存在を出す能力だ」


「どういうことだ? もっと詳しく説明してくれ!」


「今の私はお前のステータスをすべて教えることができる存在だ。それとは別に、お前のステータスの各項目だけを教えられる存在を出すことができる」


「HPやMPだけを教えてくれる令嬢を出せるということなのか?」


「その通りだ」


「それなんの役に立つんだ!? 君がいれば、他は必要ないだろ!?」


「単純に人手が増えるわけだから、戦力は増強されるだろう」


「まあ、確かにそうだな」


 特殊能力の話なのに、すごく現実的な話だな!


「それに特殊能力を持った令嬢がいるかもしれない」


「えっ!? そうなのか!? どんな能力を持っているんだ!?」


「不明だ。私が分かるのは、お前のステータスだけだ」


「そうなのか。なら、そのステータス令嬢とやらを出して、確認してみようか!」


「待て、今のお前ではステータス令嬢をひとりしか出せないうえに、出した後は変更できない。どの令嬢を出すか慎重に検討した方が良い」


「えっ!? そうなのか!? 分かったよ。出せる人数を増やす手段はあるのか?」


「そこは不明だ」


「そうか。なら、なおさら慎重に選ばないとな。それでどんなステータスがあるんだ?」


「ステータス令嬢が出るものは、レベル、HP、MP、攻撃力、防御力、素早さ、器用さ、体力、魅力、頭脳、知識、成長力、記憶力、特殊能力……」


 ゲームにありそうなステータスだな。


「魔法攻撃力、魔法防御力、回復力、魔法回復力、疲労回復力、精神力、気力、忍耐力、運、集中力、持続力、瞬発力……」


 魔法!?

 特殊能力の他に魔法なんてものもあるのか!?


「年齢、年収、肩書き、健康、容姿、身長、体重、筋肉、体格、酒力、肺活量、消化力、性力、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚……」


 出会い系アプリの登録に必要な情報みたいだな。


「勇気、根気、教養、寛容さ、運動神経、応用力、発想力、優しさ、甘さ、厳しさ、怒り、勤勉、人徳、節制、謙虚、欲、理性……」


 人間性に関するものもあるのか。


 それにしても、多くないか?


「バランス感覚、持久力、直感力、共感力、演技力、決断力、情報処理力、職業能力、制作力、製作力、接客、営業、構成力、会話力、文章力、身振り手振り力、観察力、交渉力、歌唱力、読解力、画力、機械操作力、計算力……」


 今度は仕事関係なのか?


「モテ力、将来性、統率力、指導力、意志力、理解力、政治力、運営力、強制力、競争力、燃費、信用力、行動力、調査力、企画力、支援力、危機管理能力、男子力、女子力、恋愛力、清潔感、料理力、収納力、掃除力、洗浄力、カリスマ、信仰心、自浄力……」


 まだあるの!?

 ちょっと多くない?


「トイレ力、毛髪力、脱毛力、保湿力、骨力、皮膚力、内臓力、血管力、投資力、透視力、善、悪、秩序、自由、変態、ギャグ、ロボット力、想像力、罵倒力、実行力、影響力、購買力、労働力、圧力、感染力、抵抗力、免疫力、吸収力、拘束力、支配力、自然力、蒸発力、殺菌力、推理力、生活力、制球力、金剛力、底力、耐圧力、胆力、脱力、弾力、発信力、判断力、反発力、馬鹿力、爆発力、筆力、批判力、表現力、包蔵力、法力、宝力、忍者力、猫力、犬力、鳥力、魚力、ネズミ力、その他動物力、暗殺力、無気力、重力、問題解決力、輸送力、抑止力、電力、上品力、下品力、収益力、収集力、動物や子供に好かれる力、中二病力、以上だ」


「多すぎだろ!? 覚えきれないぞ!? それに訳の分からんものもあったし!?」


「では、もう一回言おう。どこかにメモした方が良いのではないか?」


「ああ、そうだな」


 部屋にあったメモ帳に書き出した。


 本当に多いな!?


 それに意味の分からないものも混じっているし!?


 この中からひとりを選ぶのか!?


 しかも、選び直しはできない状態で!?


 難しすぎるだろ!?


 いったい誰を出せば良いんだよぉぉぉっ!?

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