第2話 再会
居心地の悪い教室だな。
これが、中学校の初日、入学式の日に思ったことだった。俺の中学は、マンモス校の真逆で、全校生徒が150人前後の小さい学校だった。クラスは2クラスしかないし、何より、地域が狭いから、顔見知りがほとんどだった。むしろ、顔見知りばかりで窮屈だなと感じていた。いや、窮屈だなんて綺麗な言葉は使っていなかったと思う。鳥小屋だったか家畜小屋だったか定かではないが、そんな偏屈な表現をしていたように思う。
「校長の話は長い」とよく言うけれど、本当に長い。長いだけならまだ良いが、何を言いたいのか全くもって伝わってこないのだ。周りに座っていた生徒も偉い人もウトウトと舟をこいていた。彼らには子守歌に聞こえているのだろうか。俺には雑音にしか聞こえず、微かな苛立ちさえも覚えていた。
そんな中、微動だもせず、真っ直ぐと演説者を見つめている奴がいた。華奢で長髪で、女と一瞬間違えるくらいでもあった。遠くからでも惹き込まれそうになるオーラを纏っているそいつは、明らかに変わっていて、周りから浮いていた。だからなのか、あいつの眼がやけに真剣だったからなのか分からなかったが、俺はそいつから目を離すことができなかった。
許される日 花蜜 苓 @KamitsuRei
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