許される日

花蜜 苓

第1話 手紙 

月村 あかりさんへ


 あかり、二十歳の誕生日おめでとう。いきなりで驚いた?安心して、俺が一番驚いているから(笑)。あかりに手紙なんて書くの初めてで、緊張しています。

 色々書く前に、まずは、お久ぶりです。夏樹です。覚えているかな。あかりとは、中学卒業してから一回も会ってないし、今まで連絡を取り合うことも無かったから中学以来になるのかな。元気に過ごしてた?

 実は、先日、俺の母親からあかりが就職したって聞きました。看護師になる夢、叶えたんだね。おめでとう。

 本当は、直接会って、伝えたかったんだけど、中々そちらに帰って来れなさそうなので、こうやって手紙を送っています。俺からの手紙なんて、読みたくないだろうから、捨ててもらっても全然構わない。ただ、おめでとう、と伝えたかっただけだから。それと、あの時、言えなかったこと、ちゃんと伝えないといけないと思って。

 あかり。あの時、守れなくてごめん。傷つけてごめん。お前の手を離してしまってごめん。裏切るような形になってごめん。お前の心を殺して、お前から笑顔を奪ったのは、他の誰でもない、俺だ。ずっと謝りたかった。そして、これだけは伝えたかった。お前は、ずっと俺の光だった。お前がいたから、あの頃救われていた。あの頃、隣に居てくれてありがとう。

 長々とごめんな。就職、本当におめでとう。

             甲斐 夏樹



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