雪月花散る

佐藤菜のは

雪月花散る

誰か

その花弁を拾うてはくれまいか


私はもう

立ち上がることもままならぬ


無様に伏した身体は吹雪に染まり

やがて花弁とともに埋もれるだろう


氷輪に照らされかじかむ舌

噛み切れぬ名残が喉を逆巻く


悪食に耐えかねて

込み上げるものを堪らず撒き散らした


噎せながら吐き出した紅の欠片が

銀の野に滴る


あのときの歓びは

いま汚穢おえとなって白い地に積もる


かつての私が何を喰らうたかは

どうか聞かないでくれ


月輪を分かち

日輪をひとつに


願わくば

宵のもとにて枯死なむ――


散り散りの花言葉

集める者は最早いない


落ちた椿の花弁に

狂った雪が降る






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雪月花散る 佐藤菜のは @nanoha_

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