第4話 中編

「それで?何が知りたいの?」


「ん〜…。この世界の国々とか種族とか関係性とか特徴を色々教えて欲しいかな〜?」


って言ったけど何一つ知らないので手当たり次第全部教えて欲しいのが本音なんだけどな。


さすがにそれは骨が折れると思うし、今度こそ呆れられて拗ねて貰っても困る。


機嫌を損ねないよう、慎重に言葉は選ぶに越したことはない。


「のぅ〜余は〜?」


「ヴァーミリオン様は外で待機している竜族の方々に説明されたほうがよろしいのでは?後々面倒になりますよ」


「えぇ〜イヤァじゃあ…。しかし…、ぬぅ…。…面倒事も御免じゃな…。…ちっと席を外すでな。アレイサよ、後は頼むぞ。では旦那様、また後でな」


「は、はい…」


そう言い出て行ったヴァーミリオン様。


「…いや旦那様って何!?誰のこと言ってんの!?君?!」


「性別を言わなきゃ分からない?あなたしかいないわよね?」


「旦那って何!?どゆこと??!!」


「知るか」


「知るかって…」


ついに投げやりになってきたアレイサさん。


「はぁ…もうウジウジして…説明はどうするの!?」


「お、お、お願いしますっ!」


「よろしい。じゃあこっちにきてちょうだい」


怒られながらだだっ広い部屋の中央にある楕円形のテーブルに招かれる。


しかし、仕事の会議室にありそうなテーブルだなこれ。


「ほら、私が持ってるやつだけどこれが簡易的な世界地図よ」


そう言い簡素な巻物をシュルシュル解く。


「…おおぉ……」


広がった世界地図は………。ほとんど死ぬ前の世界と変わらないというのが第一印象だった。


いや、ほとんど変わらないけど大陸は5つ。前世で言う北極大陸がない。


それ以外は一緒かな。


つーかこのユーラシア大陸みたいなデカい大陸の8割?9割?くらい占めてる国えぐいな。領土で見ればこれ以上大きな国はない。


それと自分、今どこらへんにいるのかも気になる。


「あら、この国が気になるのかしら?まぁ最初に教えるつもりだったけど意外に慧眼なのね」


「え、どうも?」


急に褒めてきた。情緒が読めねぇ…。


「これはメルト帝国よ。世界最大の第一大陸の"覇者"にして、世界の軍事力の3割を保有としているまさに最強の軍事国家ね。多種多様な戦争兵器も多いけれど最たる戦力は"無情八血衆"。この8名を各国は常に最大限に警戒しているわ。

同じ人間だと思わないことね。彼らの存在が戦争兵器みたいなものよ」


「ほ、ほぉ〜」


「あ、ちなみにこの第一大陸に小さく2カ国あるのが見えるかしら?」


「お?…あぁ、見えますね」


海沿い?にちっこく2つ国があるのが分かる。それがどうしたのだろうか。


「この2カ国は説明省くけどメルト帝国の従属国だから。戦争するってなるとこの第一大陸全土を敵に回すようなものね」


「へ、へぇ〜……」


こっわ…。世界の3割の軍事力を1国が握ってるってヤバいな…。


そんな茫然としている俺など気にせず説明は進む。

「次に第一大陸の下にあるのが第二大陸ね。ここも3カ国あるのだけれど特筆するのはこの左半分を占めている私が追放されたルーヴェイン聖教国よ。この国は8000年前、ヴェイン聖王が当時の魔王を倒し、その地に腰を据えたことによって生まれた国なの。歴史的上、最古の国とされていて現在は聖王の地を引く者たちが代々王位を受け継いでいるわ。ここは大聖女や対魔物・魔族特化戦力の聖王騎士団が有名ね。あと…」


「あと…?」


「ううん。後で話すわ」


「はあ…?」


なんだ?気になるから言って欲しいんだけど。











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異世界奮闘記 ごまだれ @777enokichi

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