第4話 前編

「そろそろ起きろ。とっくに着いておるぞ」


んぁ〜まだ寝かせて…。


「何馬鹿言っておる。そろそろ起きぬか」


良いでしょ…俺は死んだんだし…。


「いや、生きておるが…」


「叩き起こせば良いんじゃないかしら?」


数刻前の聞き覚えのある声に新たな声。


「…………ハッ!ここどこだ!…わ〜お」


「おぉ…!やっと起きたか」



死の空の旅から生還してるなんて俺、いよいよ何か持ってるんじゃないか?…いや、あのハゲ神からこの手の甲に祝福を貰ってたな。この王冠と雷の意味といい、祝福の効果といい、全てが正体不明だけど。


って起きるたら目の前にはグラマラスな赤髪の女性が!


年齢的には20代半ばぐらい?真っ赤なドレスを纏って胸の谷間は大胆にもこんにちは状態だ!


半分?いや6割くらい?特大メロンが見えてるけど恥ずかしくないんかな?


「やっと起きたか…心配したんだぞ…」


赤髪のグラマラスな女性は瞳を潤ませながら抱きついてきた。


「ちょちょちょっ!落ち着いてください!いきなりなんですか?!見ず知らずの人に抱きつくなんて俺が怪しい人だったらどうするんですか!?あ、当たってる!当たってるから!?」


「あなたが落ち着くべきじゃないかしら?」


「ごもっともだな!んでそちらは誰?いやそもそも2人とも誰?」


赤髪のグラマラスな女性の後ろには茶髪の三つ編みをした眼鏡の女性がいた。


「まぁ、ごもっともな質問ね。ここがどこだか気にもなるだろうし、ひとまず離れて差し上げては?」


視線を俺に抱きついている赤髪の女性に向けて言う。


「…うむ、失礼した。まずここは第四大陸の東部に位置する竜の国。この屋敷は余が所有している故、好きにくつろいで構わぬ」


「…それで、何者なんです?」


…屋敷って言われて気づいたけど、この部屋アホみたいに広い。いや、そりゃ竜の国なんだから色々大きいのは分からんことでもないけど、にしてもこの部屋広すぎだろ!


この一室だけでテニスコート並みにあるんだけど。


起きたベッドはキングサイズを3つ並べたくらい。どんな計算でこれ作られてんの?


相当寝相悪くても落ちないな。


「…ううむ、自身で名乗るのはなんというか、気が引けるのう…。ぬし、余に代わって紹介してくれんか?」


「え?…恥ずかしい…?ハァ…、こちらの御方は"灼陽竜"こと"竜皇"りゅうおうヴィルヘルム・ヴァーミリオン様よ。竜種の頂点の一角に座す御方ね」


!?!???!?!!?!


り、竜種の頂点…。まさかの超大物だった…。





……ん?竜種の頂点?


ってか、


「あの、もしかしてさっきの竜…ってあなたなんですか!?」


「なんじゃ、今更気づいたのか…余は少しだけ悲しくなったぞ…」


グスングスンって嘘泣きやめてもろて…。


本当、一挙手一挙動が絵画のように絵になるな!


いや、それより


「竜って人になることもできるんですか?」


「あなた、そんなことも知らないの?」


フンッと鼻を鳴らして茶髪三つ編み眼鏡オンナがまた話に割り込んできた。


コイツ…さっきからちょくちょく鼻につく態度で腹立つ…。


だが、キレてもしょうがない。


何せ自分は転移者だし、この世界のことは赤子同然に無知だから話を荒立てるよりもここは腹の虫を抑えたほうが賢明だろう。


だから一芝居打つことにする。



「ああ、どうやら記憶喪失で何もかも忘れてしまって。悪いんだけどこの世界のこと詳しく教えてくんない?」


「記憶喪失だったら最初に言いなさいよ全く…。しょうがないわね、まず私はアレイサよ。ルーヴェイン聖教国の研究員。あとで教えるけどとある分野の研究をしてて国外追放されたの。たまたま流れ着いた竜の国で保護されてるって感じ」


「島流しわろたw」


「わろたって何よ?」


この世界にも島流しあるんだ。ww



—————————

次回、異世界の情勢がメインです。

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