第最終話 私を救ってくれた出会いと君の愛

真っ直ぐな谷戸をみて私はガタガタしている足をおさえながら追いかけた。谷戸がドアを勢いよく開ける。教室にはまだ、部活の準備をしている生徒がかなりいる。教室をガラッと開けたと同時に「おい、中川。なんで瀬川の靴を隠した?」谷戸は声を低くしながら、中川さんに近づきながら聞く。中川さんは、いきなり名前を呼ばれたからか、体をこわばらせた。「な…なに?雪斗くん…」「なに?ってお前が瀬川の靴を隠したんだろう。俺は昼休みに見たんだよ。」谷戸は声をこえをはって答えた。それと同時に教室が一斉に私たちに注目が集まった。「な、なによ…だって、羨ましかったのよ。高嶺の花の雪斗くんが瀬川さんみたいな人と…」「こんな奴じゃない」谷戸は眉をひそめる。「とにかくもうするな。」「もういいや、あっちいこ」隣にいた田中さんが中山さんに声をかけて逃げるように去っていった。

「谷戸、ありがとう。」私は震えている声をがんばって出してお礼をした。「いや、俺は昼休みのときに止めてなかったし。それに気づいてたんだ、前から。なのに、お前が気づかないふりしてほしそうだからって理由で気付かないふりしてた。」谷戸は頭を掻きながら謝った。「いいんだよ、私が自分で言わなかったのが悪いの」そう、私が伝えなかったから。なのに、「悪くない、悪いのはあいつらだ。ほら、これで拭け。」そう言ってもらうと嬉しくてでも、いじめが辛くて悲しくて涙が出るよ。

それからというもの、いじめもなくなり学校は前よりもずっと楽しくなった。「瀬川、帰ろうぜ?」「いいよ、靴もあるしね!」「勘弁してくれよ。」こんな時間がいつまでも続きますように。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

助けてくれたのは隣の席の君 ゆる @586169yuru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ