第9話 私の彼氏は②

「浮気――じゃなくて……。えっと……」

 マジで何言ってんだ、私。は、早く訂正しなきゃ――

「あのね――」

「大丈夫だよ」

「……え?」

 恐る恐る私は彼と目を合わせる……。すると彼は笑みを浮かべて、こちらを見ていた。

「にゃおーん……」

「……へ?」

「なんちゃって。また猫と遊んでたんでしょ?」

「な、なんで……」

「だって、みーちゃん、前も野良猫相手に浮気したーって言ってさ、泣いて帰ってきたことあったし」

「そ、そんなのあったっけ」

「あったあった。まぁでも、みーちゃんは覚えていないかも」

「え?」

「会社の飲み会帰りで、酔っ払ってたし」

「そ、そうなんだ……」

 お、覚えてない。不覚。私ってやつは……。

「ごめん! 帰りに猫ちゃんと……その、戯れちゃいました」

 すると彼は、

「今回も楽しめた……かにゃ?」

 ニコッと気さくな笑顔で私を見つめた。

「うん……」

「ふふ。なら良かった」

 私はこの笑顔にいつも救われている。



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それでも私は触りたい。 五池真礼 @maayagoike

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