英雄候補と能力値 ②

「レベル……に、これは現在のステータス。 他にはスキルツリーもあるな。 ポイントはゼロだが」


 一先ず自分のページを開いてみると、こんな内容が記されていた。

 上記から、俺の名前や年齢。

 次にレベル、その下がステータス欄。

 

 筋力 E 素早さ E 知能 C 技能 D 技術 C 運 C


 どうやらこれが俺の基礎ステータスらしい。

 戦闘面はやはり役に立てないステータスだ。

 まあ戦うつもりは無いから良いんだが。


 そして最後にスキルツリー、か。

 一応『ガイドオブオーダー』の基本スキル『ガイドブック召喚』は習得しているみたいだ。

 他にも色々スキルがあるらしい。

 どれから習得するか悩みどころだ。

 まあポイントの稼ぎ方がまったくわからないのだが。


「へー、なんかゲームの攻略本みたいね」


 言い得て妙だ。

 確かにそうかも。


「上手い事言うな、黒崎さん」 


「黒崎さんだなんて他人行儀な呼び方しなくて良いわよ。 トウカって呼んで。 ……ねえねえ、私のは無いの? あるなら見せて見せて、ユウキ」


 距離感がおかしいんだけど、この人。

 過去に男を勘違いさせて生きてきてそうだな。 

 そんな根も葉もない妄想を脳裏に浮かばせながら、トウカのページを開く。


「はいはい、ここがそう……って、なんだこのステータスは」


 俺はそのページを見るなり絶句した。

 なにしろ────


 黒崎トウカ 18歳

 レベル2


 ステータス

 

 腕力 B 素早さ A 知能 E 技能 C 技術 F 運 E


「知能ひくっ!」


 だったからだ。

 

「酷くないかしら、その言い方は。 これでも追試泣きの三回目で毎回合格してるのよ? 留年してないんだから、頭良いでしょ」


「それをなんて言うか知ってるか。 バカって言うんだよ」


「……?」


 いかん、こいつ本物のバカだ。

 俺の罵りを理解していないトウカは首を傾げるばかり。

 生徒会長でもやっていそうな見た目に騙された。

 まさかこんな頭悪いとは。  

 でも身体能力はステータス見る限り高いんだよな。

 まあ良いや、それよりもこいつのチートスキルは、っと……あれ。


「……無い」


 俺はそこでまた唖然とした。

 無いと言うのはチートスキルの事ではない。

 チートスキルはちゃんと記載されている。

 魔法壁だろうと、防壁だろうと、巨岩だろうと、大楯だろうと、全て一撃の元に切り裂く絶対断罪の剣『デュランダル』と。

 なら、何が無いと言うのか。

 それは……


「何がないの?」


「お前のスキルツリーだよ。 俺のはあんのに、トウカのだけ無いんだ」


「ふーん、なんでかしら」


 俺はトウカにも唖然とした。

 お前の事じゃろがい、と。

 だが今はトウカにツッコミをしている場合ではないと、ページを前後捲ってみる。

 しかし探せど探せども、トウカのスキルツリーは結局見つからなかった。



 



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英雄候補と異世界スローライフ ──俺はただのガイド役です── @belet

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