第13話 殺し屋VSバケモン

「ごめん。君の要件を聞くことはできないよ。僕にも目的があるから。」


 俺はジュージの要件をスッパリと断った。すなわちこれは『喧嘩上等!!!』ということであり、宣戦布告ということになる。ジュージは手強い、けれどもジュージと戦う恐怖よりもプロテインの欲しさが勝った。つまり【ジュージへの恐怖<プロテイン】ということだ。

 喧嘩上等!!!やってやんよぉ!!!


「そうですか、じゃあしょうがないですね。あと10分もしたら第三ラウンドになるはずです。そこの一回戦であなたと私が戦うことになっています。その時に試合場で会いましょう。では。」


 そういうとジュージは俺の隣を通り過ぎ、姿を消した。ふぅ、危なかったな。にしても早すぎんだろあいつ!!!メチャクチャに逃げたのに気がついたらジュージが目の前にいる。もうチートやチート、まあここで色々グチってたって何も現状は変わらない。あのチートの正体を10分以内に見つけなければ!俺は勝てないだろう、まあ攻撃方法が高速ビンタだけだったら筋肉のガードで負けることもないだろうけども、いや、そしたら皆にバレる。さあ考えよう!





10分後………





「ピンポンパンポーン。エーまもなく、第三ラウンド、一回戦が始まります。名無し選手、ダルタ•ジュージ選手は試合場に向かってください。」


 ついに十分経ってしまったか。まああのチートの正体に関しての結論を言うと、


「なんの成果も‼︎ 得られませんでした‼︎ 俺が無能なばかりにただ無駄に糖分を死なせ…‼︎ アイツのチートの正体を…‼︎ 突きとめることができませんでした‼︎」


 俺は自分の考察力がないことを恨む。最初のジュージと出会う前の考察から何にも進展せずに10分が経ってしまった。ヤバイよヤバいよ!まあ逆にいえばジュージに会う前で考えれることは全て考え尽くしていたってことか。

 俺は思考をポジティブにして試合場に向かう、するとそこには短剣を左右の腰に装備しているジュージの姿があった。もうやだ!おうち帰りたい!まあ自分の家、無いけど。言うなればナスビの中とか?


「さぁぁぁぁぁあ!!!第三ラウンド一回戦!名無し対ダルタ・ジュージ!名無し選手はなんで勝てているのか、ジュージ選手はどうやって勝っているのかがな、不思議すぎるマッチだぁぁぁあ!!!」


 俺は実況の言葉を無視し前にいるジュージを見る。ジュージの視線、呼吸、動きなどから情報を読み取ろうとするがあいにく30mくらい離れていて、何より俺はそのプロではないのでやるだけ無駄だった。仕方なく俺は実況にバレないように服などで隠れている筋肉の偽装肉体カモフラージュボディを解除する。そうもしなきゃ一瞬で勝負が終わる。ちなみに服は、元々はパツンパツンのタンクトップとパツンパツンのズボンだったのだが、スカウトマンがそれじゃあ見た目が映えないということなので中国の武闘家が来ているような服を貸してくれた。まあ、バレない範囲で筋肉増量をした。


「それでは!!!第三ラウンド!!!第一回戦!!スターーーーーーートッ!!!」

「じゃあこちらからいかせてもらいますよ。名無しさん。」


 試合開始と同時にジュージが短剣を両手に持ち、こちらに向かって来た。その速度は人間の限界を超えている。その速度から繰り出される突きをくらったらそのまま肉体を貫通してしまうだろう。恐ろしや恐ろしや。


「集中集中集中………ハアッ!」


 俺はジュージにだけ集中を固め何とか回避した。だがそれでも避け切れず胸あたりが少しスパッと切れて血が滴った。いや早すぎやて。


「おおおおっっとおおおお!? ジュージ選手の早すぎる突きを名無しさんが躱したぁッ!?だがしかし名無しさんも回避し切れず胸に切り傷を負ってしまっているぅ!?こんなハイレベルな戦い!コレはまるで決勝の雰囲気だあああ!」

「ふむ。コレでは仕留め切れませんか、ではもう少し動きを速くしますか。このように。」


 そういうと、ジュージの姿が消えた。


 そして次の瞬間、俺の腹部がざっくりと切られて背後にジュージが立っていた。俺は何が起こったかも理解できずにぶっ倒れる。


「ナ、ナスウウウウウゥゥゥゥ!!!あ、あ、淳さん!!!!」

「だから言ったじゃないですか。降参しろって。」

「ウ、、、ウゥ……………。」


 俺は必死に立って戦おうとする。だが本能が地べたに這いつくばれと言って体が動かない。そして、どんどん体が冷たくなるのを実感した。


「ア!ア!アアアアアアアアアアアアア!!?コ、コレは!な、名無しさんがぶっ倒れているううううう!流石に相手が格上すぎたのかあああああ!?」

「立って!立ってくださいナス!!!淳さん!!!」

「立て!お前に全額かけてんだ!!!立ってくれ!!!」


 意識が薄らいでいく。もう体が動かない。そしてまぶたがゆっくりと閉じて俺の意識は途絶えた。

 















いや!!!



まだだ!!!!!


俺は!!!まだプロテインを飲んでいないぞ!!!!


こんな所で終わってたまるか!!!


 俺は意識が途切れ途切れになっている中、ブラリと立ち上がった。ボタボタと血が垂れているのが見えるがそんなことは微塵もどうでもいい。


「ああっと!?な、名無しが立ち上がったあ!?あの傷でぇ!?バケモンだ!!!」

「な!何ぃ!あ、あり得ない!!!」

「ア!淳さん!!!」


 俺は『偽装肉体カモフラージュボディ』を解除する。みるみるうちに自分の視点が高くなっていく。そして腹部の傷を筋肉で無理やり圧迫止血した。


「な、な、何だあああああああ!!?な、名無しが、、バケモンがバケモンになったああああああ!?」

「お前、何だその姿は!?」


 そして、俺は右足を前に、そして左足を前に出して、前進した。その全身の速度はジュージのチートをはるか上回る速度だ。そしてジュージに拳を放つ。


「クッ!!!」


 ジュージはひどく動揺し、本能のままに短剣の刃先をこちらに向けてガードをした。一般人がこのガードに殴ってしまったら腕が縦にスパッと切れるだろう。だが、あいにく俺は一般人じゃない。俺の放った拳は短剣を粉砕しそのままジュージの腹部に直撃した。だが、どうやらジュージは服の下に着込みをしていたらしく何とか耐えた。それでも数十メートルはぶっ飛んだが。


「ガッ!!!何だよ!?あり得ない!!!この私が!!!こんなこと!!!」


 いつも平静を保っていたジュージも自分がいきなりぶん殴られた事に驚きを隠せないでいる。、俺は距離が離れてしまったので近くにあった瓦礫を拾い、投げた。


「『投擲メテオ』。」

「何ぃッ!?」


 俺の投げた瓦礫は音速を軽く超えた。そして、空気抵抗による摩擦で瓦礫は熱せられて融解した。溶岩がコチラに音速を超える速度で向かってきたら一般人だったら理解すらできずに焼失するだろう。だがジュージも殺し屋、すぐに冷静を取り戻し折れた短剣の柄を投げて溶岩が被弾するのを回避した。


「ふうっふうっハァッハァッ………スゥーーーハァーーーー、、、、、なるほどコレは参りましたね。今の私では勝てそうにない。だけどここで負ける訳にはぁ……………」

「お、俺もプロテインがかかってぇ……………」


 ジュージはどうやら本気を出そうとしたらしいがさっきの殴打でかなりダメージを受けたらしくバタリ倒れた。そして俺も途切れ途切れだった意識が今薄れて………………………。






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⭐︎おまけのコーナー⭐︎(告知的なの。)

※筆=筆者 オワ=オワトル


筆「ハイ!という事でおまけコーナー!」

オワ「ハイハイ、やってきました。」

筆「いやー、最近レビューが一つあってモチベーションが爆上がりしました。」

オワ「オッ!良いじゃねえか、その話。というか普段から更新頻度上げろや。」

筆「精進いたしま」

オワ「やれ。書け。俺の出番増やせ。」

筆「分かりました。」

オワ「わかりゃいい。」

筆「という事で、はい、ハートが増えるたび、レビューが増えるたびにどんどん更新頻度は上げていきます。しかし、都合によりここ一週間は書けません。コレはマジですみません。それと、趣味の範囲内で活動していきます。仕事じゃないんで休暇は何とか目を瞑ってください。何卒」

オワ「それじゃあオマケコーナー。」

筆・オワ「終わり!」

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魔力なしで転生した俺はスキルの『肉体』、を使って魔法使わず無双する! @makoryo

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