第13話

 物凄い力で床に押し倒された私の上に真三が覆いかぶさる。

 不覚にも胸キュンしてしまった。そんな場合じゃないが、映画みたいじゃん。

 突如現れた残りの四兄弟とアケミや他の客、店員とで乱戦になった。

 ハンスが手にしたものから光が溢れるとアケミ以外の敵は真っ赤な肌の太った蜥蜴のような姿に変わる。

 混乱するカフェから真三によって助け出された私は、店の前に横付けした車に押し込まれた。

 その直前にアケミの叫ぶ声が響く。

「早織。あんたには負けないわ!」

 真三は家に戻ると難しい顔で説明してくれた。

 アケミは他の七強国の一つラ・ダイン国の手先に懐柔されているらしい。

「どうも、この国の政府関係者から情報が漏れていたようだ。ラ・ダインは我々とは別の進化過程を経て恒星間国家を形成した種族の国だ。好戦的で手段を選ばない。私たちが早織を必要としている事情も分かってしまったようだ」

「前から疑問だったんですけど、地球人とあなた達って同じ種族なの?」

「我々の祖先がこの星にやってきて現地の生命体に遺伝子操作を施した結果が、早織たち地球人類なのだと思う。そのときに知性を大幅に引き上げたようだね」

「それで似てるのか」

「そんなことよりも、ここを引き払わなくては。再度襲撃を受ける恐れがある。それと申し訳ないが、あなたの通信デバイスはここに放置して欲しい」

「出かけるのは構わないけど、スマホ捨てるのはちょっと困るな」

「その埋め合わせはいずれする」

「まあ、いっか。画面の端にヒビもあるし。どうせ連絡来るのは元勤めていた会社関係がほとんどだし」

「急ごう。ジェット機をチャーターして他の国へ移動するんだ」

 荷物をまとめて車に乗り込む。

「こんな時になんだけれども、宇宙戦艦とかロボットとかそういうのは出てこないの? さっきも普通の銃で撃ちあってたし、レーザー銃とかもっと派手なものを使うのかと思ってた」

「本星に戻れば君の想像もできないようなテクノロジーはいくらでもある。ただ、ここは宇宙の端も端の辺境なんだ。最低限の資材を積んだ高速船でやってきているので、基本的には現地調達になるんだよ」

「はあ」

 ハンスが話を引き取る。

「でも、皆が探しているライブラリ・デバイスには一度失われたロストテクノロジーを含めて膨大な知識が眠っている。その知識を手に入れた陣営が、この星系の資源を使って様々なものを生み出したらパワーバランスは一気に変わるんだ。想像できるかい?」

「残念ながらあまり」

 落胆する表情を見て慌てて言葉を継ぎ足した。

「とりあえず、それがとても大事だというのは分かりました」

 空港で六枚のパスポートを受けとり、特別ルートを通って私たちは機上の人となる。

 これから五人のイケメンと共に地球を飛び回る私の冒険が始まった。


 ***


 とりあえず怪電波が切れたのでここで一旦終了です。

 ご容赦ください。

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空からイケメンが降って来たんです。本当です。 新巻へもん @shakesama

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