サラリーマン川柳が名前変えやがった(お笑いネタでご確認ください)

岩田へいきち

第1話 サラリーマン川柳が名前変えやがった(お笑いネタでご確認ください)

「う〜ん…… サラセンね……」


「どしたん? そんな、うなって考え込んで」


「いやな、違うと思うで、違うと思うんやけどな、『サラリーマン川柳』がな、名前変えやがったんや」


「ああ、お前が入選作品の内容が最近、サラリーマンから離れ過ぎてるてお笑いネタで痛烈に批判しとった、あの大手生命保険会社のやつな」


「違うと思うんやけどな、あれをお前と二人でやってな、カクヨムに掲載したんが今年の7月や。そんで、名前変えやがったのが今年の9月やで。関係あると思わへんか?」


「そんな名前変えるなんて大事な話、たった2ヶ月で準備できると思うか。しかもあんな大手が俺ら二人の漫才に左右されるか。絶対ちゃうで」


「でもな、俺、その会社の元大株主やで」


「『ええっ、あなたは株主さま?』 そんなCM、昔あったな。古過ぎか、悪い。でもお前が大株主なわけないやろ。何株持ってたんかいな?」


「あったな。二株や」


「たった二株かいな。どこが大株主やねん」


「いやな、この大手の保険会社な、ある時、株式会社へ変わったんよ。そんで、会社の株をな、保険契約者の人々に配ったんや。一つに一株ずつな」


「へぇ、そんなことあったん。俺は生命保険入ってへんからなんも知らんかったわ」


「まあ、お前には必要ないからな。丈夫な身体しとるし、頭あんまり使わへんからな」


「他人を『バカボンのパパ』みたいに言わんといてんか」


「そんでな、一株ずつやからな、殆んどの人が持株一株やがな。俺は嫁はんの分も有るから二株や、相対的に大株主やがな」


「そんなん、たった二株で大株主って言えるか?」


「みんなが一株の中、俺だけ二株やで、ダブルスコアやん、ダントツやがな、ぶっち切っとるやん。こんな大株主の言うこと、いくら大手とはいえ注目してる思うで。カクヨムも全世界に繋がってるからな。百合の世界とか薔薇の世界とか異世界とかな」


「なんか違うところに行き出したな。まあ、ええ、お前が相対的に大株主やったてことは認めよう。そんで、『サラリーマン川柳』なんて名前変えたん?」


「やっと本題かいな、長かったわ」


「お前が話、ややこしくしたんやろ」


「言うで、発表するで」


「何、ここでもったいぶっとるんや?」


「発表します。『サラっと一句! わたしの川柳コンクール』…… どや、まいったか?」


「何、お前が偉そうにしてんねん? またこれにお前、なんか言いたいんちゃう?」


「そやった、思い出させてくれてありがとう」

「忘れとったんかいな。お前が原稿書いたん違うんかいな?」


「ああ、原稿な、これ終わってから書く」


「なんや、ぶっつけ本番やったんかい? そう言や、ネタ合わせしてへんかったな思うとったわ」


「ここまで、気づいてへんお前も大物過ぎるけどな」


「これまでな、『サラリーマン川柳』はな、川柳は川柳でもサラリーマンに関係ある話題で、サラリーマンって可哀想やな、辛いなぁ、頑張ってるなぁみたいなことがテーマで珍しくて個性あって、人気になったんやな。でもな、今度の改名で

『サラっと一句!わたしの川柳コンクール』やがな。なんか戻ってへんか? これって普通の川柳とちゃうか?

しかもこれまで何にも付いてなかったのに最後にコンクールって付いてる。これまでもコンクールだったみたいな説明や。ちゃうねん」


「何がちゃうねん?」


「サラリーマン川柳は、そんなコンクールとか上品な言い方するもんとちゃうねん」


「じゃ、なんて言うねん?」


「 そら、もちろん大会や。地方大会から勝ち抜くな」


「また、県大会へ戻っとるがな」


「そうや、前も言うたけどな、県大会は大事なん。人口少ない県やったら俺も代表に選ばれるかもしれんしな」


「お前が出るためかいな? まあ、ええ、地方大会から始まったとしてどうするんや?」


「各都道府県で大会して代表決めるんや。季節は秋やし、夏の大会と違うから代表は、3作品までは良いことにするねん」


「お前も入りやすいようにな」


「分かっとるやん。俺、この県では強いからな。各県の強豪校みたいなもんや。3番までなら入るな」


「ほんまかいな?」


「人口少ない県やからな、ある思うで。そんでな、各地区の代表がな、この大手生命保険会社の本社がある東京でしのぎを削るねん。全国大会やがな……緊張するで」


「いや、もう出来てるんやから緊張せんでいいやろ」


「そんでな、もちろんNHKでは生放送されるんやけどな、応援団も駆けつけるねん、バス何台も連ねてな。『おらが県の代表や、頑張れや、へいきち』ってな」


「お前の応援かいな。人口少ないんやからそんなバス何台もいらんやろ。マイクロバス1台で充分やろ。お前の嫁はんと俺の嫁はんと俺。ほら充分やないかい」


「お前も来てくれるんかいな? 嬉しいわ、好きやわ、お前。俺の嫁はんは、来ないやろけどな」


「行かへんのかいな。じゃ、俺もやめとくわ」


「どういう関係やねん、俺の嫁はんと。そんでな、この大会人気になるやんか、今年はどこの県が優勝するかなぁ? とか、あの県の作家、3年ぶり5度目やがなとかな。そのうちな、連覇する奴とか出てきてな、『四天王や』とか言われて祭り上げられるんや。そんでな、そんなオモロい奴、テレビ局とか吉本興業とかでも欲しいやんか。でもな、お金無い会社は、取れへんねん。お金ある会社に良い作家が片寄んねん。そうなったら何があると思う?」


「ド、ドラフト会議か?」


「その通りやがな、さすがお前やわ、分かってるがな、愛しとるわ」


「やめてぇや。そんで、お前、名前が変わった『サラっと一句! あたしの川柳コンクール』かな?どちらも略せば『サラセン』やけどな、応募すんのか?」


「この大手生命保険会社には、お金も借りてるしな、世話になってるから応募するわ」


「金借りてるんかいな」


「応募してな、全国へ進出してな、テレビ中継されて、ドラフト会議にかけられるねん。『吉本興業、第一位指名選手、へいきち』ってな。そんで、俺は、サラリーマンの仕事が有りますからって、断るねん」


「断るんかいな、一位指名されて」


「契約金くれれば別やけどな、くれんやろ?」


「そらそうやな、お前には勿体ない。そんで、作品作ったんかいな?」


「ああ、まだ全国レベルにはなってへんけどな」


「どんなんや?」


『 定年か 消えてどこ行く サラセンよ 』


「しみじみやなぁ」


「 「  ありがとうございました 」 」



終わり



※ 最後の川柳は、自前ですが、カクヨムに掲載してしまったので、応募作品には使えません。厳正なる審査をされてると思いますので(たぶん)。別の作品を用意します。

※※ これに対応する近況ノートに『サラセン』レアグッズの画像を載せます。会社の机の奥にしまっていました。良かったら見てください。

https://kakuyomu.jp/users/iwatahei/news/16817330648298677083

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サラリーマン川柳が名前変えやがった(お笑いネタでご確認ください) 岩田へいきち @iwatahei

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