仕事終わりにコーヒー飲んでたら友達が増えた件

氷雨業

ベンチと少女

「はあ……」


コーヒーを一口含んでため息をつく。

いつからこんな疲れるようになったのかな……

俺はいつも仕事終わりに寄る公園のベンチでそんなことを思っていた。


「転職……しようかなあ」


時刻は夜の21時。

入社当時は、定時で帰れていたのになぜこうなってしまったのか

高校を卒業してから今年で6年目の24歳彼女なしこと宮坂太史です。。こんばんはって誰に言ってるんだ俺は……


「なんかいいことねえかなあ」


そんなこんなで仕事が終わると帰路途中にあるいい感じの公園のベンチで缶コーヒーを飲みながら考え事をするのが俺のルーティンになっている。


「愚痴とか聞いてくれる友達とか……ほしい……なあ」


涙ぐんでかなわぬ願いを口に出していた。

まあ、周りに人もいないし大丈夫だろう


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


ふう、叫ぶと気持ちいいな

あ、もちろんご近所の迷惑にならない程度のボリュームだぞ

人もいないし、へっちゃらだーい……とおもっていたのだが……


「びっっっくりしたあ」

「おわっ!」

「おじさん、急に脅かさないでよう」

「え、ご、ごめん…てか、え!?」

「?」

「い、いつからそこにいたの?」

「? ずっとだけど」

「なぬ!!?」


嘘だろ最初からいたのか、じゃあ独り言とか全部聞かれてた?


「一応、聞くけど全部聞いてた?」

「……うん!」


ですよね!うん!知ってたけど!

てか、この子誰だ。見た限りだと女子高生……だよな。制服着てるし


「おじさん、いつもここいるよね?」

「そうだけど……もしかして近所の子とか?」

「……うーんとねえ、まあそんなところ……かな」

「そ、そう」


なんか間があったような……まあいいか


「で、おじさんになにか用かな」

「あ、用事とかそういうのはないの、ただ疲れてそうだなー、大丈夫かなー、友達欲しそうだなー、ボッチなのかなーとかおもって」

「なんか突っ込みたいのに合ってるから何も言えん……」


あれ、俺ってやっぱりそういうふうに見られてたんだ……泣きそう


「だからー、私が友達になってあげる!」

「え!?」

「ふふ、JKの友達なんてレアだと思わない?」

「う、うん確かに」


か、からかわれてるのか?

てか、JKの友達なんて世間にばれたらどんな目で見られるか……


「やっと話しかけられてうれしいなあ」

「やっと?」

「うん、ずっと気になってはいたんだよう、でもいざ話すとなると緊張しちゃって…」

「……」


かわいい

え、どーしよなんでこんな子が俺のことなんか……

まあ、いっか!かわいいし!


「と、とりあえず友達の証としてコーヒーもらうね!」

「アッ!」

「苦!?」

「あー」

当然だ。ブラックだもん。

俺でも苦いって思うぐらいだしなあ


「うへー、でもこれで間接キスだね?」

「うえ!?」


た、確かに…

なんか恥ずかしいような嬉しいような


「ふふ、げほっ!苦いけど関節キスはもらったぜい……うん」

「お前が照れてどうする……」


「と、とりあえず今日はここらで!どろん!」

「あ、まっ!」


ビューと駆け足で走って行ってしまった

あの子は一体……

明日も会えるかな……

さっきまで飲まれていた缶コーヒーを手に取る。


「ま、間接キスぐらいどーってことないよな」


俺は手にした缶コーヒーを飲み切る。


「……苦いな」


でも不思議とちょっとだけ甘く感じた気もする。







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仕事終わりにコーヒー飲んでたら友達が増えた件 氷雨業 @hisame-gou

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