一命を賭してフランスを救うべく活動したジャンヌ・ダルク。
聖女として有名な人物ですが、時代の荒波に逆らえず、最後は魔女の烙印を押され、火刑に処されてしまったという。
そんなジャンヌを救い出すべく天使に召喚されたのは、現世で金融不況に巻き込まれ、全てを失って死んだ投資家の男。
そんな男がどうやって聖女ジャンヌを救助するのか……という物語です。
いわゆる歴史改変ものというジャンルに該当する物語ですが、15世紀初頭のフランスが丁寧に描かれており、そんなリアルなフランスの街並みや街道を、主人公・ルグランと相棒の天使・アイヒが、ジャンヌ救助の手掛かりを追って探索する様子は、それだけで興味深く楽しむ事が出来ます。
単純にジャンヌを救助といっても、そこは15世紀のフランスなので、現代とは違うモラルと法律に支配されており、そんな15世紀フランスでも通用する様な、適切な方法でジャンヌを救う必要があり、結果的に主人公のルグランは「金銭を得て財力でジャンヌを救助する」という方法を思いつくという、この辺りに現世で投資家として生きて来た男の生き様が滲む次第です。
ジャンヌ救助に必要な、大量の財貨を得るべく奔走するルグランとアイヒ、最初に目指すは「テンプル騎士団の財宝」であり、さらにそんなルグランとアイヒの行く手を脅かす謎の敵も現れ、財宝探しの冒険は次第に過酷なものになって行くという、非常に胸躍る展開です。
現実的で頭の切れるルグラン、お調子者で可愛いアイヒ、果たして悲劇のジャンヌ・ダルクを救えるのか……という物語、一読の価値ある、楽しくて質の高いエンターテイメント作品です。
お勧めです。
転生としては珍しく、元の世界の人生を目標としているため、視点がブレることなく読み進められる物語となっています!
史実に介入する形のストーリー展開なので、話の筋が通っているのか、史実をつまんだ程度の知識しかない私でもわかりやすい親切、丁寧な描写ですらすらと読み進めてしまうのですが、それだけが要因ではなさそうです。
相方ポジとして天使がいるのですが、このキャラの存在がシリアス調の物語の癒しとなっており、天使が主人公との絡みを披露することで、肩の力を抜くことができます!
そもそも相方ポジの天使が熱心にガイドを読んでるあたりから、とても胸が熱くなる俗っぽい設定も良です!
所々で発生する主人公の熱が入った時の早口調の長文はこだわりがひしひしと伝わってくるので、歴史が苦手、マネーゲームは苦手、という人でもとっつきやすい流れになっていますのでぜひ、読んで頂きたいです!
正直にいって「私の趣味にどストライク」な作品です。とある事故で転生した主人公、そこから始まる物語っと聞くと一般的な話に聞こえますが、ここからはちょっと違います。
目的が、ジャンヌ・ダルクを救うというものなのですが、それを「力」で救うとかそういうレベルの話ではないんですよね。ファンドマネジャーが「お金」の力によって救うというのがこの物語なのです。
たしかに、ジャンヌ・ダルクは「捕虜」にはなるのですが、ジャンヌ・ダルクが活躍した百年戦争の時代、「重要人物の捕虜」の多くは「捕虜交換」や「金銭」等によって、ほとんど助かってきたという歴史的な事実もあります。
本作品は、ちゃんとその史実も抑えており、この時代から盛んになってきた銀行制度・金融制度にもしっかり触れ、非常に経済の勉強になる一作です。私はこういう楽しみながら勉強できる本が大好きなので、皆様も是非読んでみてくださいね!!
ちなみに、天使がメチャクチャかわいいですよ!!
ぽんこつ可愛い天使と、お金のプロの凸凹コンビが
中世フランスを舞台に、ジャンヌダルクを追って縦横無尽に駆け回る(*'▽')
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この物語の魅力を2つ!
①ポンコツ可愛い天使と巡る中世フランス旅行が楽しめます。
忠実に、丁寧に作り込まれた中世ヨーロッパを、可愛いヒロインと一緒に旅する視点がめちゃくちゃ楽しく魅力的!
有名な建築物から、歴史上の著名人まで登場して歴史好きも楽しめると思います。
②「当時のフランス」を楽しく知ることが出来ます。
中世の生活様式、食文化、流行りの服まで楽しく知れちゃいます。
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この2つの魅力を楽しみながら、タイトルテーマでもある「お金の力」について触れていきます。
現代では当たり前に存在する「銀行」「金融」の起源に遡りながら「そうだったんだ!」と学べるのもいいところ(*´ω`*)
お金のことに詳しくなくても大丈夫!
最初はツンケンしてるのに、実はぽんこつカワイイ天使に和みながら読めば、きっと楽しめます!(*'ω'*)ぜひ!