【閑話】スポーツがしたい
伝記になるような偉人にはある程度パターンがある。
まずは政治家だ。
こちらは織田信長や豊臣秀吉と言った戦国武将からケネディといったアメリカの大統領まで幅広く伝記化されている。俺が今目指しているのもこのコースだ。
次に科学者である。
これは相対性理論を見つけたアインシュタインや電気を発明したエジソンなどいる。
他にも芸術家や平和に貢献した人も主に伝記になっているだろう。
これらは今俺が目指していないだけでこの異世界で伝記になる程の活躍をするのは容易だ。
しかし異世界で決して成し遂げられない伝記のパターンがある。
それはスポーツ選手である。
このパターンはベーブルースを始めとした昔のスター選手から現役の選手まで幅広く扱っている。
しかしながらこの異世界においては致命的な弱点がある。
そうスポーツがないのである。
ここで多くの人はじゃあサッカーとか広めれば良くね?と考えるだろうがそれは甘いのではないのだろうか?
せっかく魔法が使えるのだ。魔法を使ったスポーツをするべきである。
というわけでいい感じのルールを考えたわけだが何も思いつかない。
前世の競技を参考に色々考えてみたが何も思いつかないだ。
そもそもこっちの世界の魔法が攻撃魔法を中心に発展しているため魔法を使った時点でかなり危ない状態になるのだ。これを競技として確立して安全性の確保をするのは困難だろう。
野球にせよサッカーせよそこに攻撃魔法を入れるのだ危険になるだけだ。
考えていてばかりでは先には進むまい。実際に動かしてみたり試してみたりするのは一番効率的だ。
「ミリア、一緒に遊ばない?」
「遊ぶ...ですか?」
「あぁ、こっちで考案した遊びがあってな試しにやってみたいんだ。」
「分かりました。私もヒース様と遊びたいです!」
普段ミリアを遊びに誘っていないこともあって戸惑われてしまった。加えてこっちの世界にはスポーツという概念が存在しないのでどうしても遊びという説明になってしまう。
*
というわけで中庭にやってきたがとりあえずやるのはバレーボールだ。
二人でやるにはちょうどいいしボールはとりあえずそこら辺にある毛糸を丸めて球にすることで用意できたからだ。
一応基本的なルールをミリアに説明してとりあえずラリーだけやっていると父と母が何をやっているのか気になり見学に来たので二人も誘ってビーチバレーのような形で対戦を始めた。
ちなみに父は最初は渋っていたが違う動きをすることも剣の修行のやくに立つと言うすぐに参加を決断した。貴族になってからも修行を続けてたから分かってはいたが父はどうやら相当剣術好きなようである。
*
「ヒース様トスです。」
「おりゃぁぁぁぁぁ!」
俺のスパイクが相手コートに突き刺さる。俺とミリアの完璧な連携によって勝利することが出来た。
「くっそー!ヒースもう一回勝負しろ。」
「父上そろそろ日没ですよ。」
「ああ、そうか。じゃあまた明日やろう。」
「そうしましょう。」
こうして俺は家の中に入る。しかしここで重大な事に気いてしまった。
そう勝負に熱くなりすぎて新しいスポーツの開発のことを完全に忘れていたのだ。
まぁ楽しめたのでいいか。
ちなみに後日談になるが今回のバレーボールを見た屋敷の使用人によってこれが広められ、バレーボールは民衆の間ではやることとなった。
結局、魔法を使ったスポーツを広めることは出来なかった。
解せぬ....。
伝記好きの異世界転生〜伝記で得た知識を使って無双する〜 自堕落な優等生 @industrial
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。伝記好きの異世界転生〜伝記で得た知識を使って無双する〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます