閑話 漂流する者たち
白く泡立つ海に蛇が泳いでいた。よく見ると青い龍で、その背中には4人の女がしがみ付いている。双子の少女と赤毛の青年にブルネットの人形のような女が龍の背中で会話していた。
「ドロシー聞いてる? 他のみんなは大丈夫かな」
「他って、姫様と聖女たちのこと?」
ドロシーは水に濡れてワイルドな青年に質問返しを決めていた。能天気な青年はうんうんと頷いている。ちょっとおバカさんのようだ。
「そうそう、聖女たちはオマケだけどね」
「姫様は死んでない。獣騎士と一緒じゃないかな。ところでビエレッテは濡れると男の子みたいだね」
「髪型がね……まあいいのだけど」
「そういえば、赤いファントムさんって呼ばれてたわね」
ビエレッテは真っ赤になりモジモジしだす。
「カーラを助けた拍子に池に落ちたのよ。一緒に♡」
「また触り放題で弄んだとか」
「いいじゃない。減るものじゃないし」
嬉しそうにするビエレッテは一人夢の世界に旅立っている。ドロシーは呆れて肩をすくめていた。
一方、双子の少女は魚釣りに余念がない。食材は自給自足のようだ。
しばらくするとビエレッテが現実に戻ってきてドロシーに質問する。
「そういえば守護勇者はNo.1がユリア、No.2とNo.3が双子で、ドロシー貴方がNo.4よね。No.5って誰なの?」
「聖女ハリエット様よ」
唸りながら指を鳴らすビエレッテ。
「なーるほど、それで加入条件は整ったの?」
「神の祭壇でエストフローネを具現化してからかな。そうしたらっ!!」
「姫様は真の英雄になる!!」元気いっぱいに大声をあげるドロシー。
エリシャも追従してシュプレヒコールをあげる。
「キノ・ナスキア解放の姫! おー!!!」
「恐れ
ビエレッテが被せるように叫ぶ。
意味不明である。
∽∽ 後書き ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽
『白百合のカーラは死にたくない ~正義感だけは英雄並みの転生令嬢は守護勇者に頼った生存戦略から脱却する~』
これにて完結とさせていただきます。
最後までお付き合いくださり有難うございます。
☆による評価、ブックマークは執筆の励みになりました。
本当に感謝しております。
本作は初めてまともに完結できた作品になります。投稿を開始した段階で20話くらいしかストックがなく、後半は推敲も雑になりました。さらに、10万字を目標にプロットを練りましたが、大幅に文字数を越えてしまいました。そのために後半にかけて強引な展開が多くなり、逆に導入部は冗長で引きが弱かったです。
反省材料です。
本作の伏線は物語中で回収したかったのですが、想定していたより物語が長くなり、閑話で回収するしかなったこと、作者として非常に残念です。また、指輪等の細かいギミックを種明かしができず申し訳ありません。簡単に説明しますと精霊とエバートの契約により必然的にカーラのもとに集まり、ピースが揃うことで諸々が開放される流れです。他にも積み残しがあります。本当にすみません。
この話の続きとしましてはカーラの孫やエバートを主人公とする構想もありました。ですが、現状では書き続ける意義を感じられません。リライトするかもしれませんが、当面は次作の執筆に注力します。
それでは最後に。
皆様よろしければ次作を宜しくお願いいたします。
白百合のカーラは死にたくない 〜正義感だけは英雄並みの転生令嬢は守護勇者に頼った生存戦略から脱却する〜 楠嶺れい @GranadaRosso
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