第5話 試合①

試合当日の朝は正直しんどい

今日はただの練習試合だけど

それでもやっぱり試合中ミスしないかと思うと胃がきゅっとなる


学校についた

校庭にはまだ誰も来てなく静かな風の音だけが聞こえていた

誰もいない校庭の脇に腰を下ろす

すると

「やっほー」

後ろから声を掛けてきたのは中沢先輩だった

「おはようございます。先輩」

「随分と早いんだね今日は」

「なんか気づいたらいつもより早く着いちゃって」

「てか今更かもしれないけどため口でいいんだよ?」

「でも先輩じゃないですか」

「その先輩がいいって言ってるんだから良いんだよ!」

ポニーテールをゆらゆらと揺らしながらそう言う先輩

俺としては先輩にため口を使ったことがないから少し抵抗があるけど。でも先輩の言う通り先輩が言うのならいいのかもしれない

「…分かった」

「うんうん!」

なんだか同級生になった気分だ

うん。これはこれでいいかもしれない

「うーーん」

先輩は大きく背伸びをすると

「じゃあ私はそろそろライン引いたりしないとだから」

そう言って倉庫の方へ向かう先輩を追いかける

「俺も手伝うよ」

「え、でも」

「いいよ。まだ誰も来ないし暇だからさ」

「……やっぱり晴って優しいよねー」


美麗side

学校の校庭に着いたときにはもう試合は始まっていた

歩きながらちらちらと試合の方を見てみる

「水瀬君どこかなー」

そう言いながら紗香と一緒に校庭の端に腰掛ける

「あれじゃない?」

「どれ?」

「あの黒のユニフォームの9番の人!」

そう言って紗香の指のさす方を見る

「ほんとだ」

そこにはユニフォーム姿の水瀬君がいた

ふとその時水瀬君のとこにボールが渡った

水瀬君は目の前の相手を一枚かわしてゴール前のフリーの味方にパスを送った

しかしパスを受けた味方のシュートはゴールキーパー正面で止められてしまう

「ねね。いまの水瀬めっちゃ上手くなかった!?」

「そうだね」

それからも水瀬君のとこからたくさんのチャンスを作ったりドリブルで会場を沸かせたりしていた

サッカーをやったことない私でもわかる水瀬君はこの試合の中で一番輝いていた

だけど点が入らないまま後半も残り数分になったところでまた、水瀬くんにボールが渡った

今度はさっきよりゴールに近い位置

寄せてくるディフェンス達を華麗にかわすとゴールに向かって強烈なシュートを放った

「やったー!!」

二人でハイタッチをする

水瀬くんの放ったシュートはゴールネットを揺らした

もう一度コートへ視線を向けると喜んでる姿の水瀬くんがあった

あんな笑顔な水瀬くん見たことなかった

水瀬くんの笑顔を見てるとこっちまで笑顔になっちゃう

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隣りの席の美少女に好かれた件 ういうい @uiuioo

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