第9話 いざ、ぼうしの国へ


ユウイチロウの話は、もうオシマイです。


3人は、ジャングルジムを降りました。


いつの間にか、公園で遊んでいる子供たちの姿が見えなくなっていました。

そろそろ、お昼を過ぎた頃です。


――いまが、ぜっこうのチャンス! よし、やろう。


ユウイチロウの合図と共に、3人は、集まって輪になりました。


――いいかい、これからこうやってぼうしを投げるから、

2人は、ぼうしの上に、軽く手をふれていてくれ。


そう言うと、ユウイチロウは、横投げで投げるかっこうをしました。




――それから、投げる瞬間に、3人合わせて、ぼうしのなまえを叫ぶんだ。


キヨヒコとマユコの顔が、急に真剣になりました。

これから何が始まるのか、肌で感じはじめているのです。


――花火には、カギヤ。ぼうしの国へは、ユウイチロウってね。

どうやら、おあとがよろしいようで……


キヨヒコらしい、言葉でした。


――わたしたち、名探偵トリオなら、きっと、だいじょうぶよね。


マユコが、自分自身に言い聞かせるように、そう言いました。


――ああ、大丈夫さ。オレたちトリオは、永遠に不滅さ。


どこかで、聞いたことのあるセリフだと思ったけど、

ユウイチロウは、迷わず、そう言いました。


それから、ぼうしを飛ばして、8回目の時でした。

飛ばしたぼうしをかぶったユウイチロウが、ぼうし中へ吸い込まれたのです。

キヨヒコとマユコも後に続きました。


3人がいなくなった公園では、青空が広がり、

その中に、3本の飛行機雲が並んで、ひかれていました。



******


その翌日、ユウイチロウがひょっこり、こちらの世界に現れました。

そして、君へのメッセージを残していきましたよ。


最期になりますが、ユウイチロウからのメッセージを紹介して、

このお話しは、オシマイです。



『親愛なる君へ


オレは、ユウイチロウ。


親友のキヨヒコとマユコといっしょに、

いま、ぼうしの国を訪れている。


そうそう、ティコから君のぼうしの名前も聞いてきた。

一度しか言わないから、よく聞いておくれ。


君のぼうしの名前は、きっかけ・ハット!

きっかけを生み出す者のなまえさ』



〈完結〉

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ぼうしの国のティコ 夢ノ命 @yumenoto

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