第8話 三つのぼうし


――マユコが言ったとおりなんだ。

オレたち3人なら、きっと、ティコを助けられると思うんだ。


ユウイチロウは、右手で握りこぶしを作りながら、力説しました。


――それで、今日はぼうしをかぶってくるように頼んだんだ。


キヨヒコは黄色、マユコはオレンジのキャップのつばを、持ち上げながら、

「もちろん」の合図をしました。


――いいかい、一度しか言えないから、よく聞いてほしいんだ。

ティコから、キヨヒコとマユコの帽子の名前を聞いてきた。


タコの口のキヨヒコとヒヨコ顔のマユコ。

二人ともユニイクなリアクションで、ユウイチロウを、たじろがせます。


――キヨヒコの黄色い帽子の名前は、『ショウ』、

マユコのオレンジ色の帽子の名前は、『ロティ』、と言うんだ。


ユウイチロウは、帽子を手に持って、まじまじと眺めている二人をよそに、考え始めました。


キヨヒコには『ショウ』のいる帽子の国へ、

マユコには、『ロティ』のいる帽子の国へ行ってもらって、

きっかけのヒントを探してもらおうと思ってたけど……

まて? まて? まてよ? そうかあ、そうだよ、その手があったんだ。


――キヨヒコ、マユコ、二人の帽子をちょっと、貸してくれないか?


ユウイチロウは、二人からぼうしを受けとると、マユコのぼうしの上にキヨヒコのぼうしを重ね、キヨヒコのぼうしの上に、ユウイチロウ自身の青いぼうしを重ねました。よし、これで、できた。


3つ重ねたぼうしを手に、ユウイチロウは、興奮気味にそう言いました。



〈続く〉

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