事務手続きができない魔術師の危機を救うのは(書類上の)パーティ追放!?
- ★★★ Excellent!!!
就労資格、失業保険、再雇用試験、雇用保険課、雇用失業保険課、戸籍課、社会福祉課……我々読者が現実の事務手続きでお世話になる事はあっても、異世界ファンタジーではあまり目にする事はない言葉が、この小説にはいっぱい出てくる。
しかし、この話の舞台となる世界は、一部の法律や制度とか役所などが我々の現実と似ているだけで、れっきとした異世界である……はずだ。
この作品に出てくる役所が、税金の節約のために魔王のダンジョンの遺跡を居抜きで買い取って改装して使っているという設定も妙に生々しい。
しかし、この設定が有るからこそ突然魔物が役所を襲い出すという展開にも説得力が出る。
また、主人公の強化魔術師・レヴィンは壊滅的に事務手続きができないのだが、その描写もなかなかリアルだ。
届いた封印を確認しないで放置する。期限切れのものを見つけても気が滅入るから手をつけない。重要な書類を分けて管理しない。机が散らかっている。
事務手続きが苦手な人間あるあるのフルコースだ。
卒論のくだりなんかは、誰かモデルになった人物がいるんじゃないかと思うレベルだ。
そして極めつけの「役所ってどこの何課に行けばいいんだっけ……」という発言だ。
昔、私も役所で似たような事を言った事があったっけな……