つたない感想ですが、失礼いたします。
最近はいい歳をして、カクヨムの異世界ファンタジーばかり読んでいます。
特に転生モノなどはラーメンに例えれば『幸楽苑』のメニュー色々といった風情があります。
種類が豊富ですが、確立された製法で、工場で材料を作りますが、調理する人によって味に幅があります。
それでも大きく期待から外れない味が多いように思います。
で、そればっかり食べているといい加減に飽きてきますので『たまには違うモノが食べたい』となるわけです。
お店を探さないといけません。スコップするわけです。
今回は、ダークな感じの緊張感ただようファンタジーで、ぬるいチートなどは無く、世界観もしっかりしておりながら説明的では無く、人物や情景の描写が簡潔でわかり易い上に、情念としてはそれほど重くないヤツが理想です。
激重いヤツは胃が受け付けません。
例えばキャラクターの情念が『豚骨魚介醤油ニンニク増々の上に5辛』とかはハードルが高いのです(『カルマの塔』などはそうですな)。
とにかくそんな感じで検索したところチャンとありましたよ。
そういう丁度いいファンタジーで、現地主人公のものがちゃんとある(実は何作か見つけた中の一つです)。
文章が簡潔なのに丁寧。
主人公はまともな年齢の少女(今まで5歳とかの少女は違うのではないかと思っていました)。
緊迫感ただよう情景の描写。
人物のセリフと行動による世界の設定の自然な解説。
そしてネタが無いことも含めて、見事な正統派ファンタジーでした。
カクヨムではプロの方々の作品も含めて、うまい文章と普通のテーマが評価されにくい傾向にあると感じます(題材が普通のものであれば、読ませる為の筆力だって優れている物が多いです)。
この作品もそういった影響を受けているのかもしれませんし、また、読者の『読みたいモノ』とは違うのかもしれません。
それでもいつか『背脂醤油ラーメン 脂少なめ』が食べたくなる日は来るでしょう。
その中でもこれは逸品だと思います。
ダークだけど胃がもたれないのが良いですね。
色んな意味で『いい歳の男』がたまに食べるのに本当に丁度良かった。
重苦しい出だしで、ハッピーで楽しくて笑える話ではないと分かる話。
序盤は終始どんよりしてます。
主人公の少女がとっても可哀そう。
彼女が真面目で堅苦しくって、でもどこかからかいたくなるような可愛らしさがある。
なろうからのお引越しに伴い、だいぶ改訂されているので、改訂前より分かりやすく読みやすい。
個人的には、主人公が知り得ないことは極力書かれていなかった(後半で怒涛の勢いで明かされる)なろう版の方が好きでしたが、スムーズに展開を理解出来るカクヨム版の方が、初めて読む人には良いのかも。
後半になるにつれ、カワイイキャラが出てきたり、なんだか笑えてしまったりする展開になったりして楽しいです。
やはり筋肉とむさ苦しさには真面目な話は似合わないのでしょう…その分、血みどろスプラッタが増えるので、受ける重苦しさは序盤と変わらずとんとんです。
私は最初の数行で「好きな文章だ!」と直感して見事的中したので、同じように感じた方にはハマる作品だと思います。