~漫才風会話劇~『天の川の火曜日』

維 黎

火曜日は何の日?

「「はい、どうもぉぉぉぉ。よろしくお願いしまぁぁすぅぅぅ」」


「え~、今回はなんと初の出張なんですよねぇ」

「出張って言うんか、これって?」

「立派な主張やんか。僕ら今までKACの舞台でしか出てないんやから。それがよそ様の企画ぶたいに出てるんやし」

「まぁ、そうなんやけども。なんか腑に落ちん」

「細かいこと気にしたらあかんで。作家みたいにハゲてまうよ?」

「失礼なこと言うたりなやッ! ハゲてへ……」

「いや、そこは『ハゲてへん』って言い切ってあげて」

「――は、ハゲてへんわッ!!」

「いや、ドモってしもてるし。――まぁ、ええわ。それより僕らのこと知らん人ばっかりやと思うから自己紹介しときましょうか。『ライトリード』ってコンビでやらせてもらってる僕がライトで――」

「わいがリードって言いますねん。よろしくしたってください」


「リードさん。今回の『なんでも出張短編作』のお題『天の川の火曜日』なんやけども」

「よそ様の企画に変なサブタイトル付けなや。しかも某TV番組のパクリやし」

「なんで『天の川』なんやろね?」

「ん? どういうこと?」

「『天の川』っていうたら彦姫と織星が出てくる七夕――七月七日やん? そやのに十月になんでこのお題出したんやろ?」

「名前ごっちゃになっとんで。織姫と彦星な。――確かに『天の川』っていうたら七夕伝説が思い浮かぶけど、別にそれだけやないやろ? 天の川は冬も見れる"冬の大三角"があるんやから七夕とは違うアプローチもあるってことちゃう?」

「そうなんやろか? 深く考えんと何となく適当に決めただけちゃう?」

「やめぇや! なんちゅーこと言うねん、よそ様のことを。めっちゃ怖いな、自分」


「ところでリードさん。織姫と彦星ってググるとイラストなんかは大抵、二人が天の川を挟んで出会うシーンか隣同士で立ってるイラストが多いねん」

「まぁ、一年に一度しか会えないっていうのが七夕伝説の肝やからな。そこがフィーチャーされるのは当然なんちゃう?」

「ところがですねん。ここだけの話、キスシーンがメインでどーん! と書かれてる時があるの知ってます? あくまで会話劇ここだけの話やけども」

「キスシーン? 見たことないな。恋愛にからめたドラマとか漫画とか?」

「そうやないんです。実はですね。七月七日が火曜日になった時だけどーん! と出るんです」

「火曜日?」

「そ。火曜日」

「なんか意味あんの?」

「もちろんですわッ! 火曜日はチューするでぇTUESDAY!」

「無理やりすぎるわッ! ――もうえぇ、やめさせてもらうわ」



「「どうもぉぉ! ありがとうございましたぁぁぁ」」

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