第2話 魔力
「これが、、、家?」
私はあれから一週間かけてサーシャの家に行った。
「そう、って言っても家っていうより何だろ、、、、まあいいや上がって」
「お邪魔します」
靴を並べて家に入るとどこか懐かしいような木の香りがする
「そんなかしこまらなくても他に誰もいないよ、お母さんは病気で死んじゃったしお父さんも魔獣に殺されて死んじゃったから、一人なの」
なんで、、とは聞いてはいけない気がした。
「フレイ、ここ、使って」
と言ってサーシャが引き戸を開けて見えたのは20畳の部屋。
「服はこれ使ってね?」
服を置いたサーシャは戸を閉めてどこかに行ってしまった。
ふうっと息を吐いた。
色々な感情がごちゃごちゃになる。
恐怖、不安、悲しみ、マイナスなことばかりだ。
「母さん、、、」
どうしたら、私はどうしたらいいのだろう。
目を閉じて思い出したのは幼い頃の楽しかった記憶。そして何があっても私を守ってくれたお母さんとの思い出。それを思い出すとなぜか安心した
きっと大丈夫。
そう思うと、瞼がすぅっと落ちていった。
「起きて、起きてってば」
「んっ、、、、、、、」
目が急に覚めた。
外はすっかり明るくなりどうやら昨日の夕方から寝てしまい夜を越えたのだと気づいた。
くぅぅぅ、とお腹が鳴った。
そういえば2日も食べてない。
「朝ごはん、できてるよ?食べるでしょ?」
「はい」
そっけなく答えたがアタマの中はご飯の2文字でいっぱいだった。
「これ全部サーシャが?」
「そう!私の手作り朝ごはん!」
聴き終わった瞬間口にスプーンを運んでいた。
「美味しい、、、、、、美味しい」
2日ぶりだからと言うわけでもないだろう。
何処か味がお母さんの作ったスープに似ているからかもしれない
「そうだ、私この後修練場にいくけどどうしとく?」
修練、噂にしか聞けなかった魔術を見れるのかもと思うともう口は動いて「一緒に行ける?」と頼んでいた。
修練は思っていた以上に凄かった。
魔術だけでなくと言うより魔術の修練などないに等しくただひたすらに剣を振っていた。
彼女曰く、回復魔術と武器に魔力を込めて効果を付属させる付属魔法しか使えないから実戦では、剣が頼りになるのだと言う。
「ふう、、、ごめんね待たせちゃって」
サーシャは汗を拭きながらいった。
「いや楽しかった」首を振ってそういうと「そう?」と不思議そうに言った。おとぎ話や噂でしか聞いたことのない魔術を少しでも見れたしそれに、木剣を振るう姿はとても綺麗だった。
「私にも、わたしにも魔術、教えて欲しい、、、」
興味からか思ったことがつい口から出ていた。
「あ、、いや、今のは、、」
と詰まると、「いいよ!教えてあげる」
と言われて地下室に連れて行かれた。
キラキラと輝く透明な宝石を手に持って言った。
「これは魔石って言って魔力がを溜める性質があるんだけど、今は溜まってない。これに魔力を流して溜めるだけ。手に持ってみて」
持った瞬間身体中から魔力が溢れる、、、、ことは無かった。
そうしていると、サーシャが私の手に手を重ねた。
その瞬間私の中の枷が外れたように体を流れる血とは異なった流れを感じた。
「そう、それが魔力。魔石にそれを流し入れるイメージを想像して」
すると突然、水に絵の具を入れた時みたいに魔石の中心から赤い色がすうっと広がっていく。
「あっ、、、、」
「すごいじゃんこれ結構な魔力濃度!才能あるじゃん」
そう言われると少し頬が熱くなってしまう。
「ありがと」
「ううん、いいよ」
「じゃあ戻ろっか」
「うん」
そう言って扉に向かった時だった。
「あっ」
小さな段差につまずいてしまった。それと同時に一枚の紙と小指ほどの小さな小瓶を落としてしまった。
床に落ちた小瓶が割れ偶然にも中の黒い液が紙の中央に垂れる。紙には古代にあったとされた魔術と似て非なる魔法の陣が描かれてあった。
垂れた液がどんどん広がるように黒い闇のような影が部屋の地面に広がっていく。
「フレイっ」
そう声が聞こえた0、1秒後私は闇に吸い込まれた。
魔術師フレイは星を観た @cometto
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。魔術師フレイは星を観たの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます