雄平の日常
またせたな(土下座)
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あぁ、本当に、
どうしてこうなってしまったんだろうか。
「でさぁ、この前ヤッた男がさー」
「えーっ!やばぁ!本当にそんなこと言う人いるんだぁ!」
「ねー!AVの観すぎだろ!って感じ〜」
「やっぱ顔だけ良くてもだめだね〜」
「顔の良さだけじゃ消せないキモさがあったね」
放課後、廊下を歩いていると開け放たれた隣のクラスから聞き覚えのありすぎる声で全く聞きたくない会話が聞こえてきてそんなことを思ってしまったのは仕方のないことだろう。
「はぁ...」
だから若干涙目になっているのも
ため息が出てしまったせいだ。いいね?(圧)
──俺こと佐藤雄平の元彼女である近藤 咲夜は、
誠に遺憾ながら自他共に認めるヤリマンだ。
ヤリマンになってしまった...
原因はまるで分からない。
お互い初めての恋人で、お互いファーストキスの相手で、初体験だってお互いだ。
中学生の時に付き合って、
それなりに上手く付き合えていたはずだ。
でもある日、
咲夜はあっさり俺を裏切って知らない男と寝ていた。
それに気づいた俺は耐えられず別れを切り出したってわけなんだが、
「だからと言って好きじゃなくなるわけではないんだよなぁ...」
自分から振っておいて未練たらたらの女々しい男が一人この世に生み出されてしまったってわけだ。
「俺ってそんなに下手くそだったのかなぁ...」
そんな泣き言を溢しながら今日が終わっていった。
◇◇◇
「そろそろ戻った方がいいんじゃない?」
「あ、もう昼休み終わっちゃうね。ばいばい」
「ばいばい」
後日、授業前にふとそんな会話が聞こえてきてそちらの方を向くと、元彼女の咲夜に手を振って別れを告げて教室に入ってくる幼馴染の姿が見えた。
(珍しいな、咲夜と美愛が話してるなんて...)
思わずそんなことを考えてしまった俺は悪くないだろう。
何故なら俺と咲夜、そして幼馴染の美愛と優は4人でWデートするくらい仲が良かったのだが、あることから疎遠になり同じ学校にいるのにも関わらず全く関わることがなくなっていたからだ。
(そういえば美愛なら何で咲夜がああなってしまったのか知っているかも...)
あの時怒ってから(※文末に説明あり)
優と美愛、共に疎遠になってしまったが
決定的に亀裂が入ったわけではない。
かと言って今更話すのは気まずさがあるが、
昔からの付き合いで俺と咲夜のことをよく知っていて、咲夜と仲直り(?)したようだし最近の咲夜のことも知っているかもしれない美愛に色々と相談してみようかな。
そうと決まれば善は急げ、俺は授業の終わりを告げるチャイムを聞き届けると美愛の元へと向かう。
「美愛、久しぶり」
「本当にねー。いきなりどうしたの?」
「あの、さ。少し相談したいことがあるんだ。時間取れるかな?」
「えー。告白だったらお断りだよ?...ってその顔を見る限り茶化していい雰囲気じゃなさそうだね。わかった、今?」
「いや、流石にここでは...
放課後少し時間もらえるか?」
「いいよ。
じゃあ昔4人でよく行ってたカフェ行こっか」
「ありがとう、助かる。俺に奢らせてくれ」
「ありがとっ。じゃあまた放課後」
「こちらこそ。じゃあ」
◇◇◇
放課後になり、俺は先に約束のカフェに向かった。
中学生からの知り合いなら俺と美愛が一緒にいても変な勘ぐりはされないが、高校に上がってからは全く関わってないため二人でいるところを見られると変な誤解をされそうだから先に行って待っててと言われたからだ。
美愛は恐らく優に誤解されたくないからだろうし、俺も今更無駄な話だが咲夜に変な誤解はされたくないので良かった。
俺から相談に乗って欲しいと切り出したのに何も考えていなかったので頭が下がる思いだ。
「お待たせー」
「全然待ってないよ、ありがとう。
まずは好きなもの頼んでくれ」
「ではではお言葉に甘えてー」
そう言ってメニュー表を見る美愛は我が幼馴染ながら本当に可愛いと思う。
流石は地元で一番可愛いと評判の女子...
とは言っても昔から美愛は優とセットなイメージが強くて俺は美愛を恋愛対象として見たことは一度もないし、だからこそ二人が別れたと聞いた時は誰よりも動揺したしその後も二人で会っていると聞いた時はどうしても復縁してほしくてしつこくお節介を炊いて疎遠になってしまったのだ。
「あのさ、今更だけどあの時はごめん。
二人の気持ちとか無視して俺の意見だけ押し付けてしまって...」
「あはは、もう気にしてないよ。
私も私で意固地になってたしね」
まずは昔の過ちを謝罪して関係をフラットに戻すことができた。
まだ完璧ではないが相談するのに昔のことをなぁなぁにするのはどうかと思っていたからよかった...
「で、私に相談したいことってなにかな?
まぁ大体想像はつくけれど...」
「あぁ、実は...」
それから俺は咲夜と別れてからのモヤモヤ、
俺の何が悪かったのかを洗いざらい相談した。
「──私から言えるのはこれくらいかな?
後はやっぱり一度咲夜ちゃんと話してみな?」
「ありがとう、少し楽になったよ」
美愛に礼を告げ、俺はついに
咲夜ともう一度向き合うことを決心した。
───────────────────
※
[佐藤君の地元での日常] より一部抜粋。
佐藤雄平
これまた幼馴染であり、俺と名前が似ているってことで仲良くなりよく遊んでいた。
俺と美愛、雄平と咲夜の4人でデートだってしたこともある。
美愛と別れた時に、ヨリを戻せとしつこく俺に言ってきたのに対して詳しい理由も言わずに突っぱねてから疎遠になっていたが、まさかそんなことになっていたとは...
「美愛は同じ高校なんだよな?」
「うん...。でも、優君と別れても私が優君とずっと会ってるのをそれでいいのか、って。ちゃんとヨリを戻すべきだって、ずっと言われてて、ほっといてよって怒ってからそれっきり話してないんだぁ。今のも人伝に聞いた話」
ちなみにこの後に佐藤君が冴え渡る頭脳による名推理を繰り出し、自分の頭脳に恐れ慄いておりますが今話を読んだ皆様に置かれましては如何でしょうか?
私は佐藤君が滑稽でなりません。
...ちなみに佐藤君が全く出てこないこの話、
自分で読んでても本当に面白くなかったので次話で出します。
執筆のブランクがヤバいので短編を書きました。
よければ作者ページに飛んで読んでください。
↓↓↓
寝取られ主人公に憑依したら優勝した話
ラブコメの舞台にとんでもないチャラ男が入学してしまった。 けら @kakuyomanaiyo
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