第10話 エピローグ

 花束は冒険者を引退した幼馴染、リティスが手掛けたものだった。


 ダニエルさんのことは知っていてカティアの花を見た瞬間ピンとたそうだ。

 あしらってほしいと要望を受けて祝福半分悔しさ半分で巨大にしようと決心したらしい。

 自分でも持てない花束の山をあっさり持たれて愕然としたが、デレデレした表情を見てよろしくねって思ったとか。


 愛と力を花束で示したダニエルさんの荒業は、冒険者にも街の人にも受け入れられた。


 大きさではないと思うが、時折花束の山が街を歩く。

 ダニエルさんはフロートの魔石を使わなくて突っ込まれていたが、自分の力で運ぶ方が好まれるようだ。

 プロポーズの気配に気付いた女性は魔石を持ち歩くようになり、女性が受け取れるようにと魔石を常備する店も増えた。


 ダニエルさんの花束は魔法で保存処理がされ、今も宿の前に鎮座している。

 逸話とセットで有名になった宿うちは花束が目印になって『花の宿』と呼ばれるようになった。


 時折、重さを確かめるように持ち上げる人がいる。

 きっとプロポーズを意識しているのだろう。 


 ここは花の都パドレアス、冒険者の集う街。


 カチッ、カチッ


 私は今日も切り火をして冒険者を送り出す。



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2つのプロポーズ ~ずっとそばにいてください~ とと @toto3haha3

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