夢日記:恐竜

高黄森哉

久々に見た夢


 ここはどこだ、という感情は不思議と湧かなかった。事務所的な廃屋だが、室内は明るく、暗さや退廃、憂鬱さとは無縁であった。光は、所々、崩れた天井からである。ああ、ラストオブアス2(ゲーム)の世界だ、自分はそう思った。


 地理的圧迫を覚えなかったが、生命の危機が迫っている焦りがあった。それは、となりの部屋にいる、ヴェロキラプトルが、迫ってきているからである。事務所の壁は、扉を中心に円形に崩れており、恐竜が、こちらへ入って来ることを阻止する方法は、見当たらない。


 そこで、自分は、欠片を拾う。その欠片が、硝子なのか、コンクリートの破片なのかは、はっきりしないが、槍に出来そうな形をしていたからだ。そして、すかさず槍にする。その際、必要だったろう木の棒は、どこから調達したのか不明である。まあ、夢だから仕方ないが、槍の先端に対する調達の凝った描写と、ちぐはぐである。


 恐竜との対決が、どうなったかは知らない。おそらく、自分が勝ったのだと思う。恐竜の胸の辺りに、手作りの槍を突き刺した場面で、夢は終わっているから。しかし、自分は、あの鱗がちな胸板を、どう突き通したのだろう。その疑問に答えられないから、描写を投げ出したのだと、私は思う。


 それから、ホールにいる。ホールでは、中央にいるブラキオサウルスが、意識にのぼったり、のぼらなかったりする。実態が不明瞭だ。ホールと、ブラキオサウルスの、物語合成に失敗したのか、その夢は直ちに放棄された。つまり、ホールから始まる、一連のイメージは、一瞬で終了したということだ。


 そして、ごちゃごちゃした部屋に飛ぶ。部屋には扉がなく、外との連絡は、ダクトで行われていることが、意識に飛び込んでくる。その銀色をしたダクトを辿って、自分は、この部屋にたどり着いたらしいのだが、その過程はさっぱり省略されていた。


 薄暗いというより、ブラックライトで照らされたような色調の部屋には、モニターがあり、そこには、廃虚の様子が記録されている。ここで、監視されていたにちがいない。そして、机の前に、ロボットがいた。それによる加害行為は、今までに一切観測されていないが、敵意を持っていると不思議と確信できた。


 ロボットは、図画工作の授業で作ったかのような、分かり易いロボットの形をしていたが、一つ違うのは、グロデスクにも、割れた機械の頭から、脳みそが露出していることだ。ということは、このロボットは、もともと人間だったのだろう。ふと、これを書いていて思う。自分は、そのロボットを、何らかの方法で倒した。脳みそを攻撃したことは、はっきりしているが、それにあたっての道具は、漠然としていて不明。


 急ながら、この夢は終了。ロボットを倒すなり、黒地に青いタイトルのエンディングが全体に、二次元的に、パッと現れた。


 明確な終わりがあるパターンは、自分の夢としては、かなりユニーク。タイトルの方は生まれて初めて。夢全体が、映画であったことが暗示されている。カクヨムにて創作することで、夢の終わり方を手に入れたのかもしれない。映画オチ。我ながら、不細工な終わらせ方だ、打ち切りみてえだ。それだったら、夢オチの方が芸がある。そもそも、これは夢なのだが。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夢日記:恐竜 高黄森哉 @kamikawa2001

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

同じコレクションの次の小説