始まりの守護神

 気付けば長い時間を共に過ごしていた。レイルは戦い好きなため旅中に悪い奴を見つけたらすぐに首を突っ込むという悪癖があるが、悪い奴を懲らしめる事には賛成していた。ノルは何も出来ないと言っていたが酒場で長い事働いていたため料理が上手く、旅中に何度も助けられていた。

 この楽しい旅が永遠に続けば良いと、そう願っていた。


 ある日、レイルとノルの親は実は同じ親だった事が分かった。シェル人とゴリン人が強いドラゴンを連れて旅をしているという噂が親の耳に届き、強いドラゴンを従えているのは自分達の産んだ凄い魔力を持つ娘に違いないと言う傲慢さが当たっていたのだから驚きだ。逃げたから死んでいると思っていたのに楽しく旅をしている事に怒りを持ったらしく、我ら三人を指名手配した。提供元を調べ、親の名前と一致したのだ。こんな機会でなかったら兄弟だということに喜ぶ事も出来たのだが追われる身となったため複雑だった。


 ドラゴンである我は目立つためレイルの持つ指輪の中に隠れる事になった。レイルは嫌がったが我が隠れる場所がなかったため渋々受け入れていた。指名手配がなくなるまで隠れようと考え、あの酒場が良いと思いつき、街から街へ変装しながら向かった。命懸けで旅をしてやっとの思いでついたと思ったら酒場はガランとしていた。マズイと思い外に出ようとしたら魔法で酒場に閉じ込められた。力で魔法を壊そうと指輪から出てきたらカウンターの奥から後手に縛られボロボロになった店主が魔法の銃を頭に向けられながらシェル人に連れられて出てきた。動いたらこいつを殺すと脅されなす術もなかった。すまねぇ……と謝る店主に何も言えなかった。


 我らは抵抗せずに魔法で捕縛された。抵抗しなかったんだから店主を早く解放しろ!と懇願するレイルを嘲笑うかのように店主は目の前で殺された。この世界から解放したなどと言うシェル人に怒りを爆発させたレイルは魔法の捕縛を打ち破って暴れ回った。我も捕縛を打ち破りノルを守りながらレイルの手助けをしようとしたが、魔法の銃弾が運悪くノルの胸に当たり血を溢れ出し動かなくなった。レイルと我は驚いて一瞬動きが止まった。その瞬間にレイルのお腹にも銃弾が貫いた。我は頭が真っ白になり、そこから後は覚えていない。気がついた時には辺りは静かになっていた。自分の体も傷がついて限界だと言う事をその時分かった。ノルとレイルを探し出し二人を抱きしめる。


何故こうなってしまったのか。どうして殺されなければならないのか。悲痛な思いでいっぱいになり涙が止まらなかった。もしも、ノルとレイルと、皆が仲良く暮らせるような世界だったら……。そんなあるはずもない夢を見て意識を失った。



目が覚めると、そこは森の中だった。懐かしさを感じながらも不思議に思う。ここは一体……夢か?天国か?手の中を見ると目を瞑っているレイルとノルがそこにいた。喜びから名前を呼ぶと二人は目を覚ました。


「ピーちゃんどうしたの?そんなに泣いて。」


レイルは不思議そうにそう言った。あだ名に違和感を持ったがよく見ると二人は以前より幼く見えた。そして顔が瓜二つだった。


「レイル……?」


そう言うとレイル?は驚いたような顔をする。


「レイルって誰!忘れたの!?レイだよレイ!そしてこっちがルイ!」


その名前を聞いて、全てを思い出した。これは遠い昔の過去だ。人間と戦争が起きるずっと前の時間。何故過去に戻ったのかは訳が分からなかったが、これはきっと神様のくれたチャンスだろう。人間と争う事なく、皆で仲良く暮らす世界を目指すために我は過去を変えて見せると決意した。

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居場所を探して メルリ @meruri_831

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