第1章ー3 ようこそ、亡手課へ!
――――追われている。それはもう盛大に。
瓦屋根の上で、
「そこの亡者たち! おとなしく捕まれ!」
「だから、亡者だけど亡者じゃないんだよ! 俺たちは『
「訳の分からないことを言って誤魔化すな!」
「
まあ、亡者の発言に信ぴょう性などはないに等しい。当然の反応といえる。
「しつこいな! どこの部署のやつらだよ!」
「たぶん、着物の色からして
――――必ず俺たちの手で
幸いなことに閻魔庁の管轄に入ったため、瓦屋根から降りて閻魔庁の本殿にむけて一直線に走った。今日は本当に走ってばかりである。さすがに隣のモドキも息があがってきているようだ。後ろから、どこへ行く! と怒鳴り声が聞こえてくる。
――――どこって、地獄だよ! 俺たちの職場はそこにあるからな!
内心悪態ををつきながら本殿に滑り込み、廊下の先に見慣れた
「逃亡した亡者は捕まえた! このままこいつを移送する! ――――あと、こいつら頼むわ!」
大声で叫びながら扉の前を通過していくと、慌てた様子で秘書がでてきた。
静止の声をかけられているが、今は止まっていられない。オレが指をさした方角に獄卒が複数迫っているのを確認すると、秘書はそちらの対応に追われているようだった。
よし、追手を撒けたようだ。
***
閻魔庁をぬけてようやく
「……それで、どうするのコウセツ~?」
モドキはそっと、みーにゃの瞳を覆っていた。そこら中にいる血だらけの亡者を見せたくないのだろう。口調はのんびりとしているが、モドキはこちらを見定めるかのように見つめている。
「決まってんだろ、
「それは命令違反じゃないの~?
「別に、命令違反ではないだろ。なにせ俺たちがうけた命令は『捕まえて、
――――それに、閻魔大王は移送した後はどうしろなんて言ってなかったぜ?
と付け加えてにやりと笑うと、モドキはきょとんとした後にケラケラと笑い始めた。結果として移送は表面上成功しているが、実際は亡者が地獄の刑をうけていないので失敗といえる。今の地獄に対する、ささやかな抵抗を示す。反骨精神、上等だ。
そうだ、オレたちは亡者らしく仕事をやればいい。そうでなくてはオレたちがやる意味がないのだから。
さて、もう廃屋みたいな小屋が見えてきた。
心配そうにこちらを窺うみーにゃと向き合って、告げる。
「ようこそ、
【ゲーム原作案コンテスト版】その手枷に祝福を! 夏川りん @rin_natsukawa
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