16.情報



 


 「……以上が詳細だ。」



 「……ふーん。つまり、ほか3人よりも早く星海くんを落とせばいいってことね。」



 「 そういうことになるな。期間は1ヶ月。ほかの3人をいかにスムーズに出し抜けるかで勝敗は決すると言ってもいい。」



 そう。今回はターゲットの星海だけではなく、対戦相手にも注意をしなければならない。ターゲットばかりに視点を当てていると、足元をすくわれかねないからだ。


 本来、カナの容姿と魅力を持ってすれば、たいていの男は口説いて落とせる可能性が高いのだが、、、



 「 で、ほか3人は誰なの? 私の知ってる人?」



 「 雨宮白 怜、 早乙女 明日香、 八神 眞白、この3人だ。お前のクラスメイトだろ?」



 3人の名前を聞いた彼女は目を丸くした。



 「……なんか、凄い面子ね。3人ともクラス、いや学年でも屈指の人気を誇る有名人よ。」



 …だろうな。顔写真を見たときから美少女揃いだとは思っていたが、やはりクラスや学年での中心人物になってくるか… こりゃ手強そうだ。



 「……まぁ、負けるつもりはないけどね。」



 「当然だ。俺がサポートするんだからな。なんとしてでもお前を勝たせてやる。」



 「……その自信はどこから湧いてくるのか分からないんだけど。てか、アンタは何が出来るの?」

 


 俺の根拠のない自信に、彼女は呆れたような目を向ける。こいつ、本当に俺のこと信用してないんだよなぁ…。 一応“愛の神”を自称しているんだから、もう少しは信用してもらいたいもんだ。



 「…まずは、相手の情報を集めることだな。とりあえず、ターゲットやほか3人のことで知ってることを全部話すんだ。」



 「んー、そうは言っても私もあんまり4人について知ってることはないんだよねぇ。」



 彼女そう言って、スマホのロックを解除し写真を開いた。何度かスクロールをしたあと、クラスの集合写真らしきものを見せてきた。



 「まずは、この真ん中にいるのが星海くん。めっちゃイケメンでしょ? もちろんアンタよりもね。」



 「……うるせぇよ。」



 彼女はクスクス笑いながら話を続ける。

 


 「んーと、サッカー部のキャプテンで、めちゃめちゃモテる。あと、頭もいいんだっけ。」



 ほぼ、事前に見せられたスライドに書かれていた情報と類似しているな。



 「もっと詳しいことは分かるか?」



 「えー、贅沢だなぁ。んー、周りからの信頼も厚くて学級委員をやってるとか? あとは、デートの誘いをまったく受けないってことで有名かな。」



 ほう……デートの誘いを受けないか。



 「なるほど、分かった。次に、ほか3人の情報も頼む。」



 彼女は少し怠そうにしながらも、写真の中央、星海の隣にいる美少女を指さした。



 「この子が、早乙女さんよ。うちの学校の生徒会副会長の1人。先生からの信頼は抜群で、定期考査は学年トップを取り続けてるわね。」



 次に彼女は、最前列の1番右に座るボーイッシュの美少女を指さした。



 「で、この子が八神さんね。バレーボール部のキャプテンをやってて、星海くんとはよく話しているのを見かけるわね。」



 最後に彼女は、後列の左に並んでいる美少女を指さした。



 「……で、この子が雨宮白さん。うちの学校で、女子人気ナンバーワンが星海くんなら、男子人気ナンバーワンは彼女。雨宮白財閥の娘で、全国高等模試では毎回のように全国トップ10を取り続けている天才よ。早乙女さんが定期考査で学年1位を取り続けているのは、雨宮白さんが手を抜いているからとしか思えないわね。女子はともかく、男子で彼女のことを悪く言う人はいないわ。」



 カナの説明が終わり、俺は聞いた情報を整理する。


 早乙女は典型的な優等生タイプで間違いない。八神はバリバリのスポーツ系、キャプテンも務めていることから責任感は強そうだ。そして、、



 雨宮白 怜



 “この女に関しては早急に手を打たないといけない。”俺の勘がたしかにそう訴えかけていた。



 

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