第14話 世界の舵 Part2

「くっ…」


繁風が舵掛に近づく。


「あんたには、皆の前で自分がしてきたことを告白してもらう」


「ああ。私の負けだ。

それは素直に認めよう。

だが、いつの日か必ず、瞳彩アイリスを…」


舵掛は気を失う。


「これで終わったな」


ヴォーテが近づく。


「ああ…」


**********


後日、舵掛は世間に向け、五仕旗を作った目的や七掌陣について、彼の野望を全て話した。


しばらくの間、皆は混乱していた。


**********


繁風とヴォーテ、そして風瓜は七掌陣を倒し、舵掛の野望を阻止した英雄として人々から敬われた。


風瓜がオースと戦った町の人々の誤解も解くことができた。


**********


繁風と風瓜が住んでいた町。

風瓜の墓の前。


「これからどうする?」


「どうするか?…

俺にも分からないよ。

風瓜を失った今、俺にはもうどうしたらいいか…」


「すまない…」


「でも、一つだけはっきりしている」


「?」


「俺は生涯にわたって、七掌陣の復活を防いでみせる。

風瓜を含めた六枚の七掌陣は、全て瞳彩アイリスのカードへと統合されてしまった。

瞳彩アイリスが何らかのきっかけで復活すれば、甚大な被害が出るだろう。

それだけは阻止しなければならない。

風瓜が繋いでくれたこの時代を、俺は大切にしたい」


うなずくヴォーテ。


「ああ。そうだな」


「とりあえず今は、この町で過ごすよ。

しばらくはゆっくり考えたい。

瞳彩アイリスのカードをどうするのかも決めなければならないからな」


「私も故郷に戻る。

モンスターの悪意を感じ取れるこの能力。

皆の役に立つ方法を探していくつもりだ」


**********


「それじゃあな。

ありがとうヴォーテ」


「こちらこそだ。

何かあったら私を訪ねてくれ。

それでは…」


ヴォーテは後ろを向いて歩き出した。


**********


それから時間が流れた。


七掌陣が消滅し、平和になったと思われた世界だったが、いつまでもそれは続かない。


「この辺りか…」


ヴォーテはモンスターが騒ぎを起こしていると聞きつけ、この地に来ていた。


薄暗い森の中。

物陰からガサガサと音がする。


「!?」


音のする方を見ると、地面から背を伸ばした草が揺れている。

警戒するヴォーテ。


「あ!」


「ヴォーテ…」


そこにはかつて、ともに旅をした男がいた。


「久しぶりだな、繁風」


「おう、久々だな…」


「どうしてここに?」


「多分、お前と同じだ」


「そうか。君も…

やはり、脅威から目を逸らすことはできない」


「ああ。

また厄介なモンスターが現れたと聞いてな」


タイミングを見計らったように、モンスターが現れる。

起動スターターを身につけている。


「こいつか。

見ろ。奴は起動スターターを…」


「どう見ても怪しいな。

繁風、また一緒に戦おう」


「頼む」


二人の青年は起動スターターをオンにする。


「なぁ、ヴォーテ」


「どうした?」


「一対一ならどっちが出るか決めないといけないんじゃないか?」


「あ…」


五仕旗 Primal Generation 完

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