この物語は、イケメン引越作業員の神倉悠樹が、なぜか中世ドイツ風の異世界に吹っ飛ばされて、異世界で引越しをすることからはじまります。
題材が面白い上に、サクサクよめる文体で、けっして、あなたをあきさせません。
物語中、特に印象に残っているのは、異世界ではなく、実際の引越し業界で、赤字でもいいから、とりあえず引越しを完徹する、その裏技。
こんな無理難題を言うお客さんもありえないですが、それをこなすベテラン引越し業者もすごい。
次々とバラバラになった荷物が届くなんて(内容は、実際にお読みください)。
すごく面白かったです。
ぜひ、お読みください。
ベテラン引越作業員の神倉悠樹は、子供をかばってバイクに轢かれて異世界へと飛ばされてしまう。中世ドイツのような町ウビイを訪れた悠樹は、それまでの経験を活かし、異世界で初の引越し屋さんを開業することに。
引越しとは、ただの肉体労働ではありません。荷物を傷つけない技術やノウハウが欠かせない繊細な作業であることはもちろんですが、依頼者が長年暮らした我が家を離れるには複雑な事情があり、その心には思い出や感傷がよぎるもの。
そんな誰かの家族の歴史がつまった大切な家具や食器を丁寧に扱い、お客様の想いに寄り添った誠実な仕事ぶりが深い感動を呼び覚ますのです。
ときにはギャングに脅されている孤児院の夜逃げを手助けしたり、魔物の出る街道を通ってお姫様の嫁入り道具を運んだり、スリリングな荒事も起こるのがファンタジー世界の引っ越しならでは。
これから新生活を迎える誰かのお手伝いをするのが、引越屋さんのお仕事です。引っ越しを通じて見える異世界の人間ドラマに引き込まれます。
(「異世界で働こう」4選/文=愛咲 優詩)
きっと儲かるはずです。
ちゃんちゃん――
とはいかない。
さてさて、この物語、異世界に飛ばされた主人公が引っ越し屋を始めるわけですが、この世界には引っ越し屋なるものがないときました。
そこで、ふと考えてみました。
現代日本で引っ越しって、大抵は仕事の関係。
異動で色んな場所に配属になるケースがほとんど。
となると、異世界ではどうか。
異世界ってサラリーマンは無さそうだし、そもそも需要が多くないから必然的にこの商売がない。
仮に私が異世界に転生したら、これはチャンスだな、とw
とまあ、脱線はいいとして、こちらそんなコメディタッチのお仕事小説かつハートウォーミングな人情ものでもあります。
リアルな描写も多く、お仕事小説が好きな方にもおススメです。