第5話 18時だよ!全員酒豪!!年に一度の大品評総選挙!

「今年もやって参りました、酒姫品評総選挙!今年も本嬢造のSAKEグループと、吟嬢造の蔵グループ混じっての選挙になります。」


「うぉーーー!!」

「待ってましたーー!!!」


相変わらずの大盛況だ。


「先輩、とうとう来ましたね!品評総選挙!楽しみにしすぎて昨日あまり寝れなかったですよ!」


僕は興奮気味にステージを向いたまま先輩へ話しかける。


「そうだな、麹。お前がそんなにハマるとは思って無かったぞ...。逆にちょっと引くかもな。ハマるのは良いが課金は程々にな。酒姫中毒になったら抜けるのは大変だぞ?」


上戸先輩から諭される。あまり寝てない中の酒姫だったので、ちょっと酔いが回るのが早かったのかもしれない。少し落ち着こう。


「ほらよ、水飲め。」


ペットボトルに入った水が僕の手元に差し出される。


「ありがとうございます。水野メヨさん。」


この1年、僕は大衆酒場に何度も行くようになり、酒姫と羽目をはしずして話しすぎることも多々あった。そんな時には毎回毎回水野メヨさんに助けて貰っていたのだ。


「まぁ、興奮するのも分かる。今日は年に1回のお祭りだからな。うちの店からも2人出場してるしな。ほらあそこにいるぞ!あいつ、めっちゃ緊張してるじゃん!」


メヨさんが指を指した方向には、泡盛さんが手を振っているのが見えた。泡盛さんはどこでも緊張しないんだな。さすが沖縄出身だ。

その隣にはガチガチに緊張している南部美人さんがいた。そう、僕の推しだ。


僕は南部さんへ手を振って見るが、南部さんは全然周りが見えてなさそうであった。


「やっぱり今年も久保田さんが1位なのかなー?なんにでもあうし...。」

「僕はフルーティな獺祭さん派だけどね!」


一緒に来ているカイピロスカとアンファジーネーブルも楽しそうに品評総選挙を予想している。


「ただ、こういうデカい大会憧れるなぁー。日本酒姫部門は裾野が広いなぁー。混姫部門の大会はこんなに大きくないからなぁ。もっと私達混姫も頑張らないとね!」


カイピロスカは可愛らしい緑色の髪飾りをフリなが気合いを入れている。他に連れてきていた混姫達もそれに応える。


「うふふ、そうですわね。頑張りましょう。」

紅色の髪をしたクイーンエリザベスは素敵な笑顔を振りまいている。


「いえーーい!!」

白色短髪のチチは陽気に踊っている。


「よっしゃ!頑張ろー!!」

金髪のフロリダは元気に叫んでいる。


なかなか異色な組み合わせだ。


「そうですよ!似姫はまだ大会と呼べるものは無くて、僕が"はしり"みたいなものです!今後の若者達のニーズを取り込んで、僕も頑張らないとです!この会場の酒姫ファン達を少しでも似姫ファンに取り込みたいです!よっしゃぁ!!」


アンファジーネーブルも男声で気合いを入れる。

周りにいた可愛いらしい男の娘達もその意気に応える。


「頑張ろうニャー!」

オレンジ髪のプッシー・キャットは可愛らしく猫ポーズをしておる。


「頑張るぞ!」

黄色髪のガタイの良いオレンジパンチはシャドーボクシングで応える。


「フロリダさんって、似姫じゃないのかしら?あの子、男の娘じゃなかったかしら...?まぁ良いわ!私も輝ける日が来るのを夢見て、頑張りますわ!」

白と黄色のツートンカラーの髪色をした、シンデレラはフロリダが男の娘では無いかと疑っているようだった。



「それでは、10位から発表させていただきます!栄えある第10位はーー...!」





酒姫の文化が変わりつつある昨今。

節度をわきまえれば酒姫は愛でても、愛ですぎることは無い!酒姫を通じて得られる友情、愛情もある。それは悪いことでは無い。



品評総選挙の結果が何位だって良い!推しの酒姫が、酒姫でいてくれる限り、僕は君を応援し続けるんだ。南部美人!愛してる!



二日酔いになったって、次の日は元気に仕事しよう。二日酔いを気にしてるなんて酒姫との遊びに失礼だ!今日は金曜!明日は休み!朝までだって飲み明かすぜ!

俺たちの二次会はこれからだ!



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最後までお読み頂きありがとうございました。

酒姫のことが少しでも好きになって頂けたら幸いです。


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酒姫!〜異酒界で大吟嬢に醸す純米ラブストーリー〜 米太郎 @tahoshi

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