まばたき怪談!

 ・140文字以下でショートショートよりも短い『まばたき怪談』というコンセプトの作品です。発想がとても面白いですね。読み手としても短くてしっかりとオチがあるのは読みやすいです。この発想を思い付いた作者さまは天才ですね。

 ・『まばたき怪談』をコンセプトにしているので文字は本当に短いです。ですが、スクロールしていかなければ結末が見れないように改行されています。ページを開いた瞬間に結末の方に目がいってしまえば台無しですからね。そういうところもしっかりと考えられている作品です。

 ・エピソードタイトルは本当にシンプルなものばかり。逆に言えば何が起きるか全く想像がつきません。だからこそ面白い。前述のオチへの配慮もそうですが、タイトルにも配慮が感じられますね。作者様の気遣いこそが作品を良くしていると思います!

 ・エピソード2の金縛りはホラー系の定番ですが、彼氏が金縛り霊になったというのはなんだかハートフルな感じがしますね。ただただ怖いだけではなく考え方次第では印象がガラリと変わったりするエピソードもあります。

 ・エピソード4の禁断のおでんでは企業秘密のオリジナルの出汁がなんなのか、それがオチでわかってゾッとします。動物の肉という伏線はあるが作品のコンセプトでもある短さが思考する時間を与えてはくれないので、思考するよりも先にオチが来てゾッとするのです。

 ・エピソード7の青年の主張では、人間の肉の味とか何を言ってるんだろうと思っていたら、実体験した人の語りでゾッとしました。確かに我々一般人は人間の肉の味を想像するだけですが、実体験がある人からすればさらにそれは違うことだと証明できますからね。説得力がありますが、その前に実体験してるとか怖すぎです!

 ・エピソード12のパワースポットも皮肉めいていて発想が素晴らしいです。パワースポットでやる気が湧き上がったからこそ空も飛べると思い込み飛び込み自殺のようになってしまう現象。このパワースポットもいつかは心霊スポットになるんでしょうね。本当に発想が素晴らしいです。

 ・エピソード29の噛み癖では、言葉を噛む方と噛み付くの二つを掛け合わせていて上手いです。噛み癖にもこの二つのパターンがありますもんね。

 ・エピソード51の気になる臭いは、実際にありそうな事件でした。うまく隠していても腐ったら臭いでバレますからね。ベットの下とかすごい怖い。床下、天井とかだと木材も腐敗して穴が開くらしいですよ。

 ・エピソード61のコインロッカーも奇妙です。赤ん坊の泣き声がコインロッカーからして開けてみたら赤ん坊の人形。音を出す仕組みがない人形なのに……あの泣き声はなんだったんだ?

 ・エピソード81の若い妻は違う意味でゾッとしますよ。夢の中に若い頃の妻がいて愛を確かめ合っていたら、それが夢じゃなくて現実で、しかも若い妻だと思っていたのが自分の娘で……。このように毛色の違うホラーもあって読んでいて飽きないです。

 ・エピソード96の昔ばなし殺しでは、昔話に因んだ罰を与えるというもので咄嗟に答えた『かぐや姫』がまさか屋上から突き飛ばされることになるなんて。他の昔話だとどうなっていたのか、そういったことも考えてしまいますよね。浦島太郎だったら海に沈められていたのかなとか、一寸法師だったら潰されていたのかなとか。

 ・1000エピソード以上あるのでどれかホラー番組とかに取り上げられて再現VTRのドラマ化とかしてもおかしくないクオリティです。というかしてほしいです。書籍化よりもドラマ化の方がすごく合ってそうだと個人的に思いました。

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