第3話 ふたりぼっち
「いやあ、
「……私だって驚いたよ。まさかダイダラボッチ、なんて存在が実在するとは」
私がそう言うと、身長の大きな彼女はからからと笑った。
時刻は夕暮れ。秋の日の放課後。
話し相手がほしかった私は、こうして彼女とふたりで公園のベンチに座っている。
彼女の名前はレイラ、という。話を聞くとなんでも、
……まあそう言われてもよくわからない。
私がわかるのは、彼女が話し相手を求めてこちらの世界に来たかったということだけで、それは私が彼女を追いかけた理由とおんなじで―――だからそれで充分だった。
「鈴ちゃん、学校で友達はできたか?」
公園の自販機で買ったホットココアを飲みながら、レイラはそんなことを訊いてくる。
「できないね、ちっとも」
「そっか」
「……なんでちょっと嬉しそうなの」
「え、いやいや、そんなことはねえよお……ふふ」
「……もう」
そんな風に大きな目をくしゃっと曲げて笑う彼女を見ると、こっちまでつられてしまう。
秋は深まり、風はだんだん冷たくなっていくけれど、もうそんなことは気にならなかった。
ふたりぼっち きつね月 @ywrkywrk
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