第8話

 何日経っただろうか、地響きと轟音が鳴り響き、ダンジョン内の揺れが長い時間続いた。揺れが落ち着いた頃を見計らって、第7階層の階段を恐る恐る降りていく冒険者達。第7階層主であるガスロの許可は出ていないが、あの揺れは確認する必要がある。


「なんだ、これは・・・」


 階段を少し降りてみると、下階層の境目が無くなっており、ひたすら階段が続いていた。

 一歩ずつ確認しつつ、怯えながら階段を降りていく。まだ、階段が終わらないし、地面までが遠すぎる。


 ドォォーン!!


 遠くの方で爆発が起きている。双眼鏡を持つ冒険者が爆発方向を見ていた。


「滝の大量の水が、溶岩溜まりがあってダンジョン内部が壊れてる」


 慎重に階段を降りてみるしかなく、かなりの時間がかかった。


 降りきったその場所は、何階層にあたるのか検討もつかなかった。下層になる程、天井までの高さが変わるため、長すぎる階段が階層の高さ感覚を狂わせていた。


「よぉく、来たんだん」


 ボロボロの格好で近寄ってきたのは、第7階層主であるガスロ。何か言いたそうだったので、冒険者達は待ってみた。


「あのねぇ、高さを変えるために水場の辺りを穴掘ったんだん。そしたら、下真っ赤でぇ。しゅんわ~、どもんって」


 光景と要約を考えるならば、階層堀り過ぎて、ダンジョン修復より先に、大量の水と溶岩の水蒸気爆発が起きたのだろう。


 冒険者達がパーティに分かれ、探索を開始しようかと方角を話し合っていると、ラギンと介助の女性が階段を降りてきていた。


「爺さん、ここはマズい。来るところじゃない!」


 冒険者達が注意を促す。しかし、どんどん近寄ってきた。


「これまでの階層を見てきたんだが、この景色も自然のようで、破壊造形が見事だな」


「あぁい、設計仕様書を見ながら、すぉんすぉんやったらのでぇす」


 ガスロが、少しドヤ顔だった。


「お前は、知的ではないな」


 ガスロが持つ設計仕様書が薄っすら光って、ラギンの手元に飛んでいった。


「イザベル、やりなさい」


 ラギンの介助していた女性が、両腕を高々と上げ、ゆっくり下ろした。次には、ドラゴンの姿になっていた。


「ブゴォォォォー」


 冒険者達に向けた大規模な吐く息は、石化ブレス。同じ階層にいた者は、全て石になっていた。


「途中までは興味深かったが、雑な設計構築は自然による破裂が起こる。全て完成してから、ダンジョンマスターとして冒険者達と相見えるのが味わい深いのだがな。今回は、なんとも下品な連中じゃな」


 その後、ラギンは設計仕様書を使用し、この10階層分ダンジョンの時を止め、入り口を岩盤で固く閉ざした。


「なぁ、イザベルよ。次は、30階層まで、がんばってみるか。中には、ダンジョン設計のうまい奴も出てくるだろう」


「はい、お爺さま」


 ラギンとイザベルは、元のドラゴンの姿に戻り、次の候補地を探しに飛び立った。


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月極迷宮主(マンスリーダンジョンマスター) まるま堂本舗 @marumadou_honpo

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