王国側陣営と反王国側陣営が長く争っている世界で、主人公である老婆のヴァヴァは反王国側陣営に捕虜として捕まっており、肉体に限界を迎えつつある怪物ヒポ様の次の器となる不老不死の肉体を生み出す研究を強いられています。
ある日、6人の死体から傍目には出来損ないのガラクタであるガー坊が生まれ、物語は動き出します。
ヴァヴァは不屈の精神を持っていて、捕虜の立場を脱するべく、あの手この手で様々な仕込みを行っていきます。実に鮮やかな手口で、読みながら感心しました。
また、反応が薄く自我があるのかも分からないガー坊なのですが、時折に出る人間らしい行動は妙な愛らしさが出ています。
送り込まれた監視役は基本的に敵対関係ながら、憎めないところもあり……ここからは差し控えます。
中盤には、あっと驚く展開があって、これは正直、賛否両論なのかもしれません。しかし、この展開によって「生」に関して宿敵と強い対立関係が生まれていて、終わってみれば納得の結末だと思いました。
全般としてダークファンタジーではあることは間違いないのですが、登場人物たちの会話はどこかコミカルで、日常系ダークファンタジーと申しますか、言葉ではなかなか表現できない不思議な雰囲気を持った物語です。