さん

駅から出るとそこには。

「ここって…」

あたりは真っ白で何も見えない。霧がかかってる?でもこれは霧とは違う気がする。まるで何も描かれて画用紙のような…。でもそれも違う気がする。

「いらっしゃい、おねえさん」

「ようこそ、おねえさん」

男の子と女の子は私にそう言った。

私は戸惑いながら2人に聞いた。

「ここは何なの。というかどこなの。何もないじゃない」

私の質問に2人はきょとんとして答えた。

「おねえさんなにいってるの?いっぱいあるじゃない。花や木もいっぱいあるよ」

「そうだよ。どうしたの?」

私はその言葉にぎょっとした。

「えっ、何もないよ。真っ白だけど霧でもかかってるの?」

私の答えに2人は顔を見合わせて

「「おねえさんはもうそうなっちゃたんだ。」」

「え、どういうこと?」

私の問いに2人は申し訳なさそうに私を見ながら言った。

「う~ん、こればっかりはしょうがないかもね」

「こればっかりはおねえさんのこころのなかのもんだいだしね」

「「おねえさん、ごめんね。ぼく(わたし)たちにはどうすることもできない。でもてだすけはできるからね。でもだいじょうぶだよ。きっとおねえさんならだいじょうぶ。だってぼく(わたし)たちがきたんだから」」

「えっ。どういう事?よく分からないよ」

私の言葉に2人はにっこり笑いながら

「「だいじょうぶ。だいじょうぶ」」

なんでこの子たちはこんなに笑ってるの?

だってこの空間を見ているだけでなんだかどんどんと物悲しい感じがしてくる。

その時、右手と左手に温もりを感じた。

(えっ。なに)

見ると2人が手をつないでくれている。

「「さあ、すすもう。きっと見えてくるよ」」

なぜだか進める気がした。

「分かった。行こう」





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夢の世界は電車の中で 高野真 @spessartitegarnet153

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