料理人闘諍

@JustWr

第1話 料理人になりたかった

僕は、料理人になりたかっただけだった。



    〜2年前の10月24日〜


「今、家に来ね!」


俺の仲いい幼馴染の園佳そのかからのメールがきた。

こいつは、俺の家の隣に住んでいる。片親で仕事でいない間、自分が料理好きで作りに行っていた。


園佳の親は寂しいだろうからと言って、中学生のときにメスの犬を園佳に買ってあげていた。


園佳は犬に二人の名前を合わせてドチと名付け、

中学生のときはよく、二人で散歩させていたのもいい思い出だ。


高校生にもなれば勉強も忙しく、ご飯を作りに行ける頻度は徐々に少なくなっていって、今では週2回くらいだ。


「誤字ってるぞ、そんなにお腹が空いてるのか。俺も勉強が忙しいんだよ」


「いいから、はやくきて!」


「自分は勉強で忙しいから、少し待ってて。」


「ちよっと!」


この時は5時くらい。

一時間後くらいに適当に作って持っていってやろうと思っていた。


自分の名前は、葛野遼かどのりょう。現在高校三年生、大阪にある専門学校、静調理師学校に入りたくて勉強している。


その学校では10月30日に14人中3人に100万円貰える試験があり、そこで選ばれるために今対策中だ。


ー5時30分ー

「さて、そろそろ作ってもっていくか。」


自分も勉強でご飯を作っていなかったから、寿司を作って一緒に食べようかなと思った。


ただ一つだけ引っかかった。

いつも待てといっても家に来てインターホンを鳴らしまくるのが落ちなのに不思議だ。受験で忙しい自分を気遣ってくれているのだろうか。


ー6時00分ー


インターホンを押して、全く出なかったからもういいかっと思って少し罪悪感を感じながら、ドアを開けた。


「おーい、いるのか?入るぞ。」


全く返事がない。

リビング向かって、寿司をいれたタッパを机においた。


「おーい。いないのか?」


家のどこを探してもいない。

これじゃただの不法侵入だ。


リビングのライトの電球がきれて暗かったため、少しの明かりを入れるために掛かっていたカーテンを開けた。


そこから庭が見える。

少し暗いからわかりにくかったが、芝生のところに少し手のようなものが見えた。


犬と戯れているのかと思って庭に向かった。


「嘘だろ。。ドチ。お前」


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