真相纏め

元々書いてた設定集的なモノがあったので、体裁を整えてみました。

タイトルからも分かる通りガッツリのネタバレ満載なので、まだ読まれてない方はぜひ1話からどうぞ!











―<人物>――――――――――


【春川創(ハルカワ ソウ)】

・弓浜市柚花区在住。青柚高校2年A組。白木冬子とは家が隣同士で幼馴染の関係。温厚な性格。幼少の頃の一人称は「ボク」だったが、冬子に見せられ続けたゼノラスの主人公の影響で小学生あたりから「オレ」になった。

・灰島竜也のEカプセルから生まれた存在であり、全く同一の遺伝子情報を有する。

・創のニューロチップには千秋律の手によって細工が施されており、特殊な信号を発していた。

-・旧人類の宇宙船はこれを目印に怪獣を送り込んでいた。

--・律は最悪自分の身が守れるようにと、創のチップのIDをアルテミスに登録しておいた。

・100周目の世界においては、夏目星奈の恋人だった。

-・それどころか、1周目の世界から彼と彼女だけはずっと、毎回必ず恋仲になっていた。

--・ただし101周目の創は冬子を好きになったため、星奈とは恋仲にならなかった。


【白木冬子(シラキ フユコ)】

・弓浜市柚花区在住。青柚高校2年A組。春川創とは家が隣同士で幼馴染の関係。ふんわり白髪ミディアムボブの儚げな見た目であるが、快活な性格。「ゼノラス」というロボットアニメの大ファン。

・律の手によって生まれつき世界の真実を知識として知っており、また「春川創を守る」ことを使命として刷り込まれ生きてきた。

-・しかし彼と長年過ごすうちに、護衛対象以上の個人的な愛情を抱くようになった。

-・冬子がゼノラスを好きになったのは、アニメの内容に使命が共鳴したため。

・計101回繰り返された新世界シミュレーションにおいて1~100周目の世界には存在せず、101周目の世界にのみ存在していた。

ー・これは冬子を生み出す元となったEカプセルが識別ID未設定の番外個体であり、千秋律にずっと存在を見落とされていたため。

--・最終周を始める際にこれに気づいた律は、アルテミスのパイロットとして使えると考えて冬子をシミュレーションに追加した。

・元のEカプセルの持ち主が宇宙船の二号船に乗っていたため、ライブフレームを使用していた。

・怪獣との最初の戦いの後、烏丸歳三に銃殺されたかに思えたが、生きていた。

-・律の操縦する戦闘機の銃撃でアルテミスとの交信を阻害するジャマーが破壊され、ライブフレームが活動を停止する前に自身の意識をアルテミスの保存領域に移した。


【千秋律(チアキ リツ)】

・2078年生まれ。物心つく前に父親が逃げ、母子家庭・三兄弟の長男として育つ。大学卒業後はサイバーアーキテクチャー(株)に就職。AI事業部に配属される。大学時代の同級生かつ同僚である灰島竜也のことを愛していた。

・ついぞ不可能かと思われた「感情を持つAI」の発明に多大な貢献をし、2099年にノーベル賞を受賞。

・母は異形侵食の深刻化による強制安楽死、妹は異形化した弟による捕食、弟は自衛隊による駆除、という経緯で家族を失う。以降メテニウムを憎むように。

・惑星移住計画に携わっていたが、主導するヤクモの方針を受け入れられずテロを計画。

-・移住先惑星のテラフォーミングを行う自律重機をハッキングし、そのタスクを2020年の地球の再現作業に書き換えた。

-・持ち前のAI技術を用いて「新世界シミュレーション」を生み出した。

-・計画の最終段階で上層部に勘付かれ、灰島を犠牲に宇宙船を脱出した。

・創との戦いの後は全てのライブフレームを生身の肉体と交換し、また世界中のステーションを始めとするメテニウム関連の技術を地球へと持ち帰ることにした。


【夏目星奈(ナツメ セイナ)】

・弓浜市元萩区在住。青柚高校2年C組。白木冬子の親友。サイドテールとヘッドホン。漫画研究会所属。オタク気質で、サブカルの類は手広くカバーしている。1年の頃は冬子と同じクラスで、クラスも部活も異なるはずの春川創とは彼女を通じて自動的に仲良くなった。

・月が消滅した日の夜、何故か創と恋仲になっている夢を見た。また同日に創は、白木冬子の存在しない世界の夢を見ていた。

-・これは一斉トランスコードで意識が現実の肉体へと移された際に、消去されきっていなかった過去の周回の記録をニューロチップがロードし、その記憶を夢として認識したのであった。

・1~100周目の世界においては、シミュレーションの16年目で必ず毎回創と恋仲になっていた。


【灰島竜也(ハイジマ タツヤ)】

・2075年生まれ。大学時代の同級生かつ同僚である千秋律のことを愛していた。

・春川創を生み出したEカプセルの持ち主。

・律のテロに協力し、最期は自分を犠牲にして律を宇宙船から逃がした。あの後灰島は追手に捕まり、データを完全に消去された。

-・しかし、自分のバックアップをネストエリアに残していた。


【ライザ(ライザ)】

・春川創たちに同行し、夏目星奈がそう名付けた個体の第3世代型オートアナライザー。

-・元はただの機械だったが、青柚高校のステーションに接続した際に灰島竜也のバックアップが侵入した。

--・元々定型文しか喋らない機械であるところを、その後は都度強引に音声を合成し、会話していた。


【烏丸歳三(カラスマ サイゾウ)】

・青柚高校2年A組の担任。担当科目は数学。白髪混じりの頭に眼鏡のアラフォー。いつもどこか気だるげだが生徒想いで、人気も高い。

-・ただしこの人物像は新世界シミュレーションが生み出したAIのもの。一斉トランスコード以降の〝中身〟は木戸成雪である。

--・(つまり『烏丸歳三』という人物は、実のところ物語に一度も登場していない)

・木戸のEカプセルから生まれた存在であり、全く同一の遺伝子情報を有する。

・実は最後の戦いの後、千秋律は腐敗する前に烏丸の遺体からDNAを採取してクローンを作り、新世界シミュレーションに囚われていたAI烏丸を現実世界に出した。


【木戸成雪(キド ナリユキ)】

・2069年生まれ。サイバーアーキテクチャー(株)では千秋律と灰島竜也の上司であり、開発部の主任だった。灰島からは「リーダー」と呼ばれていたが、本人はあまり気に入っていなかった。

・異形化した隣人に妻を殺され、これ以上幼い娘に寂しい思いはさせまいと誓った。

-・しかし誓いに反して、移住計画の規則から娘とは異なる宇宙船に乗り込むこととなる。

・宇宙船内でテロを企てる律たちの動きに勘付いて新世界シミュレーションの稼働するネストエリアを調査していたところ、ネストエリアが突如宇宙船からパージされる。これによりサーバエリアに戻れなくなった。

-・ネストエリアで発見した計画ファイルを上層部に報告したところ、律の懐に唯一潜り込めた人間として新人類抹殺を指示される。

--・従わなければ娘を異形化させて送り出すと脅され、なくなく要求を呑んだ。


【木戸杏奈】

・木戸成雪の娘。2100年生まれのミレニアムベビー。

・先天性の心臓病を患っており、移住計画の規則によって強制的に二号船へと回されることになった。

-・木戸は一度裏で手を回して杏奈を一号船に乗せようとしたが、結局はバレて戻された。地球出発直前の時期だったこともあり、この際に職員がなんらかのミスをした可能性がある。


【宮嶋こころ】

・弓浜市元萩区在住。青柚高校2年C組。漫研所属。通称ミヤシコ。夏目星奈と仲のいい亜麻色髪の女子生徒。宮嶋かな子という妹を持つ。

-・妹は姉と違って黒髪であり、また顔もあまり似ていない。これは二人の元になったEカプセルの持ち主がそれぞれ血縁関係にないためと考えられる。



―<キーワード>――――――――――


【アルテミス】

・千秋律が作った巨大なロボット。飛行形態と人型形態がある。戦闘モードはオーソライズキーを持つ者か、チップ認証に登録された者のみ。

・律が言った「守るための力」というのは方便。アルテミスが作られた本当の目的とは、取り逃した残るEカプセルを狩るため、そして旧人類を全て殺し尽くすためだった。

・「活動限界」の正体はエネルギー切れなどではなく、実は内部に搭載している汚染物質タンクの容量限界である。


【怪獣】

・突如宇宙より飛来し、街を襲い始めた巨大不明生物。

・その正体とは、宇宙船が排出する汚染物質を過剰量摂取し、Eカプセル内の胚が異形化した姿だった。旧人類は自分たちの肉体を取り戻すために、刺客として怪獣を送り出しているのだった。


【弓浜隕石】

・西暦2020年、弓浜市に落下してきた隕石のこと。


【メテニウム】

・弓浜隕石の9割超を構成する金属。未知のエネルギーを秘めており、研究により2054年に同質な物質を複製する技術が生まれた。


【メテニウム技術】

・メテニウムのエネルギーを利用した技術、および2054年以降メテニウム複製の技術により発展した新技術を包括した呼び名。千秋の手がけたAIなども広義の意味ではメテニウム技術と言える。


【汚染物質】

・メテニウムからエネルギーを取り出す際に排出される物質。単位量あたりに及ぼす影響は軽微であるが、摂取し続けた人間はやがて「異形化」を引き起こす。

・メテニウム技術黎明期は汚染物質を検出する計器が存在せず、人類はその存在に気付かぬまま世界中に蔓延させてしまった。


【異形化】

・汚染物質を許容量を超えて摂取した人間に起こる現象。人とは到底呼べぬ化け物へと姿形を変え、多くの場合人間を本能のままに捕食するようになる。

・許容量は人によって様々なほか、一度に異形化が進行せず徐々に体の末端から変化していく症状は特に「異形侵食」と呼ばれる。いずれにせよ異形化によって理性を失った人間は駆除対象となり、無許可での殺処分が許可される。


【惑星移住計画】

・メテニウムによる地球の汚染が判明し、2100年にヤクモによって立ち上げられた計画。自律重機によるテラフォーミングや超長期間を想定した宇宙船の航行など、皮肉にもメテニウム技術のおかげで実現した部分は大きい。


【ヤクモ自動車】

・1912年設立の自動車メーカー。織機の製作所として端を発し、27年に自動車製造に参入。一時は世界でそのシェアを席巻したが、90年代のバブル崩壊と工場の爆発事故によって経営危機に陥った。

・しかし2050年代。メテニウムエンジンという世紀の発明がゲームチェンジャーとして働き、一躍世界規模の財閥と化した。


【株式会社サイバーアーキテクチャー】

・1985年設立の情報・通信業を生業とするITインフラ企業。2020時点で一般人の間ではサイアーゲームス、サイアーブックスといった事業で知られており、各分野でサービスの国内シェア1位を誇る。惑星移住計画においては主にサーバエリア関連で携わっており、千秋も所属する木戸チームの貢献は大きかった。


【宇宙船】

・汚染された地球を逃れるために人類が乗り込んだ宇宙船。『ネストエリア』と『サーバエリア』の2か所に大別され、それぞれパージすることもできる。1号船、2号船に分割して人類の意識と胚を運ぶ。


【ネストエリア】

・宇宙船に乗った人々のEカプセルが1か所に集約されたエリア。サーバエリアとは別に独立した制御コンピュータがあり、千秋はここで新世界シミュレーションを稼働させた。


【エンブリオカプセル】

・通称Eカプセル。人類が新天地を目指して地球を発つにあたって、生身で生活することは現実的でないという問題を解決するべく考案された。

・血液から採取したサンプルを元に、全く同じ遺伝子情報を持つ人間の胚を作り出す。それを冷凍保存することで成長を止め、カプセル内に保管している。このような手法をとることによって、従来より指摘されていたコールドスリープの問題点をクリアしている。


【育成ポッド】

・移住先惑星にて成長を開始した胚を、Eカプセルから移す機械。

・この中で胚が成長する過程で、ニューロチップが脳に埋め込まれるよう投下される。


【サーバエリア】

・宇宙船に乗った人々の意識データを保管する巨大記憶域。デジタルデータとなった人々が生活するるための仮想世界もここに構築されている。製作は主にサイバーアーキテクチャーが主導して進めた。


【ニューロチップ】

・Eカプセルに各1つ装填されている微細なチップ。サーバエリアに保存した意識データを成長した生体にインストールするために考案された技術。

・全人類一人一人に固有の識別IDが振り分けられている。


【ライブフレーム】

・意識データをインストールすることによって自分の体同様に動かすことが出来るロボット。ニューロチップの技術が基盤に在り、言わば「手足の生えた巨大なニューロチップ」とも捉えられる。移住先惑星で一時的に生身での活動が困難になるといった事態を想定して設計された。

・初代はあまり人間的な外見をしておらず、認知的不協和によって使用者の精神に大きな負荷が確認された。これを受けて外見だけに止まらず、拍動を始めとする内部器官まで人間に限界まで近づける努力がなされた。


【ステーション】

・零号船と呼ばれる先発の宇宙船がテラフォーミングの初期段階で惑星に建造する、自律重機の拠点。重機は惑星の開拓と新たなステーションの建造を繰り返し、蟻の繁殖のようにテラフォーミングを進めて行く。

・いわば何でも作れる無人自動工場であり、テラフォーミング終了後も引き続き利用される予定だった。

・千秋律はその存在を新人類から隠すため、工場や教室といった様々な「設定」で新世界シミュレーションにステーションを擬態させた。


【オートアナライザー】

・正式名称「AutomaticAnalyzer-Series_GEN3」。

・元々は惑星移住計画の前身である月面移住計画に際して開発された製品。第3世代型は特に、月面開発中に職員が異形化した事件を受けて戦闘機能を搭載している。しかし八雲社長の意向で惑星移住計画が推し進められることになり、絶版となった。

・1時間ごとに交換するカートリッジの正体は、実は汚染物質タンク。第3世代は無理に戦闘機能を実装した影響で容量がかなり小さくなってしまった。


【移住先惑星】

・地球から1200光年以上離れた場所に発見された惑星。恒星を中心に公転しハビタブルゾーンに存在する、非常に地球に似た環境の惑星。ただ地軸の傾きや直径、衛星の有無など地球と異なる点もままある。

・宇宙船はここへ辿り着くまでに2000万年ほどかかった。


【新世界シミュレーション】

・千秋律が創り上げた、仮想空間と感情を持ったAIにて行われるシミュレーション。当初は2001年からスタートし2020年を目指す設定だったが、終盤でクラッシュすることが多かったため途中から2004年スタートに変更となった。

・約60億人分のAIを同時に育て、2020年の6月2日を迎えたところで現実世界へとAIたちを移す。それが新世界シミュレーションの目的だった。

・Eカプセルに記録されたDNA情報を元に、時間的に成長するリアルなアバターを生み出している。このため、元となるDNAなしに際限なく人物を追加することはできない。


【新人類】

・千秋律の手によって再現された2020年の世界に生きる人類。


【旧人類】

・汚染された地球を逃れた2105年の人類。


【西暦2020年】

・弓浜隕石が地球に落下した年。

・千秋律は全ての元凶である隕石が現れたこの年から人類史をやり直そうとした。彼が移住先惑星のテラフォーミングを2020年の世界の再現作業に書き換えたのもそれが理由。


【2020年(仮想)】

・千秋の思想に基づいて、この世界では隕石落下が「なかったこと」になっている。この世界の住人であるAIたちは(冬子を除いて)これを仮想世界と認識しておらず、また自身を人間だと思っている。


【2020年(現実)】

・新世界シミュレーションで育てられたAIたちが移され、2020年の6月2日から動き始めた現実世界。だがここは地球ではない。

・シミュレーションがリアル過ぎるが故に、当人らにしてみれば世界が仮想から現実に移ったことは認識できない。


【月】

・ある日突然に空から消えた。

・しかしその実、月は消えた訳ではなかった。2020年を再現した新世界シミュレーションに月は存在するが、移住先惑星にはなかった。そのため、仮想から現実に移行し際に新人類目線では月が消えたように見えた。


【ゼノラス】

・1980年に始まり、2020年現在も人気を誇るロボットアニメシリーズ。冬子はシリーズのファンで、特にシリーズ3作目『ゼノラスλ(ラムダ)』を最高傑作だと思っている。現在4年ぶりの新作『ゼノラスσ(シグマ)』が放送中。

・2082年の『ゼノラスΩ(オメガ)』を最後にシリーズは幕を閉じた。


【弓浜市】

・春川たちが住む市。


【柚花区】

・9割が住宅街広がるベッドタウン。春川創や白木冬子の住む区で、通っている青柚高校もここにある。


【元萩区】

・柚花区の隣にある区。商業施設やビルも多く、弓浜市一帯で最も栄えた街。


【上鶴区】

・弓浜湾岸に位置する区。他区に比べて田舎色が強い。

・海沿いの景色の評判がよく、特に「上ヶ鶴浜」はしばしばドラマ撮影などでも使われる。

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怪獣と僕とアルテミス 平松 賀正 @hiramatsu_gasyo

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