5章142話 緋真の後悔
血桜緋真は家族を愛している。それは他人が見れば異常なほどだ。シスコン、ブラコン、マザコン、ファザコン。色々言われることはあるがその根底は
それが始まったのは雪を紅が妊娠してから。
◆
「ねぇ、お母さん?生まれてくるのはおとこのこ?それとも女の子?」
お父さんから兄弟ができると聞いてすごく楽しみ!女の子かな?男の子かな?どっちだろ。
お母さんはベットの上で微笑みながら答えてくれた。
「どっちも、かな。双子の兄妹なの。ちゃんとお姉ちゃんしてあげてね?」
えぇ!?2人!!やった、妹とは何しよう?お洋服を着たり、おままごとをしたりしたいな。弟なら運動が得意なのかな。外で遊んであげたい!
「ふふっ、もうお姉ちゃんの顔してるわね。ほら、お腹触ってみて?」
私はお母さんのお腹を恐る恐る触ってみる。
「動いたっ!お腹蹴ったよ!?」
手に少しの衝撃がきて私は兄妹が出来ることを実感した。
「少し強かったから弟かな?お姉ちゃんだよー?元気に生まれてきてね。」
私は新しい家族に目を輝かせた。それからというもの、私は何度もお母さんの所までお見舞いに行った。日に日に大きくなるお腹に私は今か今かと胸を高鳴らせる。
そんなある日、お母さんが弟たちの名前を決めたと言った。
「弟の名前は雪。秋くんが考えてくれたの。積み上がって深く大きく全てを包み込んでくれる。そんな子になって欲しいって。」
「妹の方は?」
「それがね、緋真にも考えて欲しくて。秋くんは私に考えて欲しいって言うんだけど良さそうなのが浮かんでこなくて。緋真も考えてくれる?」
私は妹の名前を一生懸命に考えた。
「緋翠ってどうかな?もうすぐ葉っぱが緑から赤くなるし、お父さんの名前みたいじゃない?」
お父さんの名前、秋から考えてみた。きっとお父さんが守ってくれる。そんな気がしたから。
「良いわね、緋翠。きっと秋くんの名前が守ってくれるわ。」
凄くお母さんが喜んでくれた。私とお母さん、お父さんみんなの名前から取ったこの名前。
それからしばらくしてお母さんが破水したことを病院から連絡が来た。遂に生まれてくるんだ!待ってて、雪、緋翠!
私はお父さんとお母さんの待つ病院に向かった。着いたら少し前に頭が出てきたって言われた。そっか、まだ生まれてないんだ。
私とお父さんはお母さんの元まで行って応援させて貰えるらしい。中に入るとお母さんが苦しそうにしてる!?
「頑張れ、紅さん!」
「頑張ってお母さん!!雪、緋翠あともう少しだからね!」
私は応援することしか出来なかった。何をしてあげることもできずにお母さんの手を握る。
オギャーオギャー
それから10分くらい。部屋中に産声が聞こえてきた。すぐに女の人がお湯の中に入れて綺麗にしてた。男の子、雪だ!
「あと、1人。血桜さん、頑張って!!」
さっき雪を連れて行った女の人がお母さんを励ましてる。私は同じく応援する。
「頑張って、お母さん!!」
そうして妹も生まれてきた。いや、生まれてくるはずだった。
あれ?声が聞こえない。雪はあんなに大きな声だったのに。
私は嫌な予感がして緋翠を見る。そうしたら励ましてくれてた女の人がすごく慌てて周りの人に色々させてた。
それから数時間後、妹はこの世界に産声を上げることはなかった。
なんで?私が名前をつけたから?それとも応援したから?
目から流れ出る水を止められないままずっと考えてた。なんで守れなかったんだろう。名前を決めたあの日、守るって決めたのに。私はそばで声をかけることしか出来なかった。何も……出来なかった。
雪を見に行った。お母さんはすごく悲しんでいたけど、雪だけでも守るって空元気で笑ってた。雪の顔を覗き込む。
「キャッキャッ!」
……………決めた。私は強くなって、雪を家族を守る。もう、何も出来ないなんて嫌だ!
雪の笑顔を見て私は決意する。この笑顔のためなら私はどんな苦行でもやり遂げる。そう決めた。
それから私は完璧になろうと必死だった。勉強だって運動だってなにが家族のためになるかわからなかったから。必死で努力してどんな厄災からだって雪を守るため。
そして、朱音が生まれた。朱音は何事もなく生まれて元気な顔を見せてくれた。緋翠の姿を思い浮かべてしまうのは良くないと分かりつつ、どうしても離れたくなくなった。
朱音が大きくなって少し経った頃、事件は起きた。雪とその幼馴染で遊んでいる場所の近くで【
間に合って!もう、家族を失うのは嫌!!何のために努力してきたの!?
急いで着いた時にはすでに終わっていた。魔防隊が駆けつけ、魔物を倒していた。私は雪たちを探す。すると、朱音を見つけた。
「朱音っ!良かった無事ね!?………本当に良かった。」
私は朱音を見つけてホッとする。その束の間、雪がいないことに気がついた。
「雪は?お兄ちゃんはどうしたの?」
泣きじゃくる朱音が指を刺した先には救急車に運び込まれる姿だった。
「雪!!あの、雪は大丈夫なんですか!?」
雪を運び込んでいる人に聞くと朱音を襲った魔物に吹き飛ばされても守ろうとしたらしい。お陰で魔防隊が間に合ったと言ってた。
「すごい子だよ。自分だって怖いのに妹を守ろうと必死だったんだろうな。俺たちが駆けつけた途端に倒れたんだ。」
それを聞いて雪はちゃんとお兄ちゃんしたんだと思った。同時に自分は何をしたんだと後悔した。兄弟を守るために努力してきたはずなのに肝心なところで何も守れてないじゃないか!
「……力がいる。どんな厄災からだって守るためには魔物を倒せるくらいの力が。」
私は魔防隊になる。もう、今日みたいなことは決して。決して起こさない、起こさせない。
それから私は魔防隊に入って強くなった。どんな魔物にも負けないくらい強く。でも、また私は間に合わなかった。司くんから雪の事件を知って愕然とした。
「何も、何も変わってないじゃない!?いつも、私は遅い………!」
あとがき
是非星とフォローをお願いします!作者のモチベーションが上がりますので!何とぞ!
それと0章辺りから大幅改稿を始めます。もう見た方もまた見てくれるとより雪の目標や感情を感じやすくなると思います!
新作を書き始めました!
日光浴したい私が吸血鬼!?〜レベルを上げるために私は今日もダンジョンに潜る〜
https://kakuyomu.jp/works/16817330651540224663
是非みにきてくれると嬉しいです!
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