5章139話 重なる朗報
出し物が決まってからのクラスのみんなの動きは早かった。美術部を筆頭に教室のレイアウトやデザインの原案をスケッチにすでにしていた。
明らかに教室の面影ないんだが?それに広さがおかしい。もっと言えば最初の構想段階のはずなのに妙に解像度が高いのは気のせいか?
「ここはこうなっていた方がいい。うん、それそれ!あーそこはなぁ魔道具研、こうできる魔道具ない?」
江口率いるメガネたちが総司令役だからか!提案したのもあいつらだし……さては常連だな!?
他にも裁縫部やコスプレが趣味の人たちがメイド服のデザイン案を出してた。すでに足の置き場がないくらい書いてないか、これ。どれどれ?こ、これは!?
俺が目にしたのは原案でラフスケッチのはずなのにものすごく完成されたメイド服だった。肌はそこまで出しすぎず、それでいて人の目を引き付ける。そんなデザインだった。
「ああ、それ?没デザインなの。だって素材に負けちゃう!うちの美女どもはこのデザインが霞むくらいなんだから!もちろん貴女もよ!」
確かに怜とかが着ると服より怜本人に目が向いちゃうかもな。
「本人をより引き立たせ、かつ!服自体の主張もする。それが最高の服よ!!」
ものすごい熱意に圧倒される。まるで目に火がともっている光景が見えた。いや待て、物理的に髪の毛燃えてない!?あっそういう能力?
「おい、雪こっちに来てメニュー考えてくれ。」
司が呼んでいるので司とその周りにいる集まりに行くとすでにいくつかメニューの候補ができていた。
既にメイドカフェみたいなメニューか取り揃えてあって問題ない気がするが。
「何をすればいいの?」
「飲み物は珈琲、ジュース各種、それからオリジナルドリンクで行こうと考えていてな。雪には一つ考えてもらって目玉の一つにする。メイド考案とかすれば客が寄ってくるからな。」
なるほど、確かにいい考えだ。そうなると綾のだけは飲みたくないんだが。
「あとはメニューなんだが、オムライスは決定としてほかの品だな。」
「あまり工程がいるのはやめた方がいいかも。時間がかかると客が待ちすぎる。あらかじめ作っといて数量限定とかなら凝った料理でもいいかも?」
「血桜さんいいね、それ!」
「ナイスアイディア!!」
「となると軽食、それも簡単に食べれて喫茶でも出しそうなものがメインメニューかな?」
俺の提案に賛同してくれた料理部のクラスメイト達がどんどんアイディアを出しまくっている。ここまでくるとどこかで店を出してもそこそこ繁盛するんじゃないか?
そうやって話していると先ほどの物理的に燃えてたクラスメイトがゆっくりと近づいて俺に紙を渡してきた。そういえばこの子に緋翠の服を頼んだんだっけ?
「緋翠ちゃんのメイド服できたよ!」
渡された紙には緋翠が黒を基調とした可愛いメイド服の姿が描かれていた。それにしてもよく本物そっくりにかけてるなぁ。ん?もう一枚あるぞ?
「これはだめだろ!?」
もう一枚にはミニスカートに胸元が少し開けたメイド服が描かれていた。綾とかが着ても別の意味でやばそうだが緋翠はレーティングてきにだめだろ!?そういえば、緋翠はどこに!?確か見て回るといって教室内だけならと自由にさせてたんだけど……
まわりをきょろきょろと探してみると裁縫部の面々に囲まれている緋翠を発見した。楽しそうにしているからまぁいいか。
「二枚目は却下……あれどこ行ったんだ?」
先ほどまで隣にいたのにいなくなっていた。
◇
「放してよ!誰なの、あなた!」
物理的に燃えてた裁縫部員、通称【燃え子】は透明な何かにひきづられ人気のない場所まで連れてこられた。透明になっていた人物が姿を現す。【
「最近は怜×雪にはまってるの……だから、雪様の娘によからぬ行為に及んだあなたは制裁を与えないと……」
帰ってきた燃え子は熱狂的な怜ファンクラブ会員となっていたという。
◇
学校の終業とともに俺は化紺先輩のお見舞いに来ていた。まだか紺先輩は目を覚まさない。
病室を開けると寝ているか紺先輩と衣手先輩がいた。最近ずっと看病しているらしい。
「化紺先輩、まだ目を覚まさないんですか……衣手先輩。少し外で空気でも捨てきた方がいいですよ。目に隈ができてます。化紺先輩が起きたときにそんな顔見たら驚いちゃいますよ?」
俺は衣手先輩が精神的にも肉体的にも疲れていることを察し、休むことを提案する。
「そうね……あなたになら任せられる。少し外で休んでくるわ。」
そう言って衣手先輩は病室を後にした。
「化紺先輩、早く起きてください……みんな待ってます。もうそろそろ聖火祭始まっちゃいますよ?ほら、見てくださいよ。私のクラスメイド喫茶やるんです。こんなに可愛いんですよ?」
俺は化紺先輩に語り掛ける。できるだけ起きてもらえるように。その時、緋翠のヤバいほうの紙を先輩に落としてしまった。
「あ、捨てるはずだったのに持ってきてたんだ……」
俺がその紙を拾おうとしたその時、化紺先輩の手が紙をかっさらった。
「なんや、このデザイン!!背徳的かつ可愛い、禁断のデザインや……アイディアが湧いてくる!詩織ぃぃぃぃぃ!紙持ってきてー!」
えええええええ!!?このデザインで起きたの?嘘ぉ。
「ん?ここどこや?おお、雪ちゃんやないか。ここどこかわかるか?」
「ここは病院ですよ。覚えてませんか?体を乗っ取られていたこと。」
俺がか紺先輩に尋ねると次第に思い出してきたようで。
「あんのくそ女、いつか会ったらぼこぼこにしてやる!うちにしたあの仕打ち倍以上にしてやる!!」
よかった、記憶も混濁してないみたいだ。
俺が安心してるとものすごい勢いで病室のドアが開いた。入ってきたのは衣手先輩だった。
「おお、詩織!今いい感じにアイディアが……心配かけたみたいやね。」
「ばか!起きるの遅いのよ、堕狐!」
衣手先輩は加近先輩に駆け寄って抱きしめていた。ここにいると邪魔だな。
俺は邪魔しないように病室を出て行った。
よかった、これで全員無事だ……。助けられてよかった。
俺は化紺先輩が起きたことを医師に伝えるために歩き始める。
◇
「久しぶりね、この学校。取り敢えず雪に会いに行きましょう。」
魔防学校の校門前に黒髪をたなびかせながら立っている人物が一人いた。
あとがき
是非星とフォローをお願いします!作者のモチベーションが上がりますので!何とぞ!
それと0章辺りから大幅改稿を始めます。もう見た方もまた見てくれるとより雪の目標や感情を感じやすくなると思います!
新作を書き始めました!
日光浴したい私が吸血鬼!?〜レベルを上げるために私は今日もダンジョンに潜る〜
https://kakuyomu.jp/works/16817330651540224663
是非みにきてくれると嬉しいです!
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