5章138話 出し物
先生に職員室に呼び出された俺は緋翠を連れて扉を開けた。やはり、幼女を連れて入ってくるという生徒に職員室に居た先生は皆驚く。そりゃそうだよ、だってここ高校だぞ?
「失礼します。」
「血桜こっちだ。」
先生が端的に俺を自分の席に案内する。何を言われるかドキドキしている俺はせめて緋翠にそれがつたわらないように努力する。
「やっぱりこの子のこと……ですよね。」
「あぁ、なんの届出も出されないまま急にいたからな。びっくりした。ほら、これにその子のことを書いて提出しろ。あとは先にやれ。」
えっ怒られない?何幼女連れてきてんだ!とか言われとると思ってたんだけど。というか緋翠がここにいて良いってこと!?
「あの、良いんですか?」
「何がだ?」
「この子が居ても良いのかです。正直、ダメだと言われると思ってました。」
先生の顔が少し呆れ顔になった後衝撃の事を教えられた。
「昔なぁ、ペットと言い張って動物を大量に教室に連れてきたアホがいてな。そのせいで大人しければそのくらいなら許容するくらいの準備があるんだよ。見たところ小学生にもなってないくらいか。ちゃんと通わせてやるんだぞ。」
誰だそのムツゴロウみたいな生徒。そのおかげで緋翠と離れなくて良いなら嬉しいけど。
「思い出したら胃が痛くなってきた……!くそティルのアホ、卒業しても俺を苦しめやがって。」
ティルさんかよ。確かにあの人周りに大量の動物いるもんな。
「それじゃあ、私は戻りますね。」
「おう、あぁそれと。選抜おめでとう」
俺は緋翠と二人でいられることが嬉しくて行きとは全く逆の気持ちで教室に戻った。
なんだ?教室が騒がしいな。議論が白熱……ってわけじゃなさそう。口論に近いな。
教室から言い争う声が聞こえてきて意を決して扉を開けるとそこには……ものすごい熱量で語る綾とえーっと転校生でいつも女が聞くやつが居た。
「あっ雪ちゃん!ねぇ雪ちゃんはどっちが着たい!?メイド服?それともロリータ?」
なんだその選択肢、どっちも着たくないんだが。というかどうしてこうなった。誰か説明してくれ!
俺は近くにいた怜に事のあらましを聞いた。曰く、出し物を何にするかとなった際に綾と口論してた奴、【
「他の出し物の提案は出なかったの?演劇とか軽食販売とか。」
「みんな江口君の案に手を挙げたの。司君なんかは雪が来たら面白いからって言ってた。」
「司ァァァァァァァ!」
おのれ、愉快犯。それはともかくとして、どうにかならないわけ?綾も着るんだよな……
「見てみたいなぁ」
「えっ雪ちゃんからオッケー出たよ!!」
急に教室がざわめき始めた。え、何俺なんかしちゃった?
「今な、そこまで言うならってメイド服とロリータ合体させようってなって。でも、肝心の雪がどう思うかってところだったんだぞ?」
司が笑いながら教えてくれた。声が漏れちゃってたかぁ。やらかしたー!!
「と言う事でうちのクラスはロリータメイド喫茶に決定だ!!」
『うおおおおおおおおおおおお!!』
江口を筆頭に男子が騒ぎ立てる。綾も混じってるのがなんかなぁ。もう、そうか着るのかぁくらいで納得する自分が怖いな。諦めの境地とも言えるけど。
「で、肝心の喫茶で出す料理だが何を出すか案のある人はいるか?」
「オムライスは欠かせないと思う!」
「当たり前だ、そこにメイドのケチャップも付けたいが激戦が予想される。断腸の思いでそれは出来ないがな。」
そこからは色んな食べ物が出てきた。良くあるメイド喫茶のメニューから最近人気のスイーツ、各種飲み物が出揃った。
「で、誰が作るの?」
俺の一声に教室が静まり返る。えぇ、そこノープランなのか。確実に綾だけは厨房に入れてはいけないことは決定だが。
「はぁ、そうなると思ったぞ。俺と調理部のやつ、あと雪で回すから他は接客で良いんじゃないか?」
司が助け舟を出してくれた!つまり俺はメイド服を着なくていいわけだな!?そうだな、司!!
「ダメだよ、雪ちゃんのメイド服姿見たいのに!」
『そうだそうだー!』
観客が鬱陶しい。そこまで見たいのか?いや、確かに今の俺を昔の俺が見たらそりゃ見たいよな。じゃなくて!
「安心しろ、シフト組んで怜、千奈、雪の3トップが集まるゴールデンタイム使ってやるから。」
俺は目の前にかけられた橋を途中で外される光景を幻視する。もちろん外した奴の顔は爆笑してやがった。
『ナイスだ、龍堂!』
「よし!それじゃあその方向で準備を始めるぞ!」
俺以外の全員がやる気みたいだ。千奈ちゃんとマナスまでやる気なのか……あっロリータ好きなのね。そうかぁ。あーでも緋翠のメイド服姿は見てみたいかも。
俺は裁縫部の生徒に密かに緋翠用も作ってもらうように頼んだ。物凄い輝いた目で頷いてくれた。ちょっと緋翠を見る目がおかしかったような気がするが気のせいだろう。幼女好きなんて業の深い奴いないだろう。
あとがき
是非星とフォローをお願いします!作者のモチベーションが上がりますので!何とぞ!
それと0章辺りから大幅改稿を始めます。もう見た方もまた見てくれるとより雪の目標や感情を感じやすくなると思います!
新作を書き始めました!
日光浴したい私が吸血鬼!?〜レベルを上げるために私は今日もダンジョンに潜る〜
https://kakuyomu.jp/works/16817330651540224663
是非みにきてくれると嬉しいです!
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