4章133話 門番
俺たちは化紺先輩の元に駆け寄る。
「千奈ちゃん、化紺先輩はしばらく眠ったまま?」
「はい、後1日は眠り続けると思います。ですがーーーーーーー」
「化紺先輩の毛の色が変わりません。もし、この黒い毛が千奈たちにかかっていた呪いの紋様と同じだとするとまだ呪術師は化紺先輩の中にいるかもしれません。」
「だよね。そうなると・・・私が化紺先輩の中に入って倒すしかないのかな。」
「ダメよ、雪!一人で行くなんて危険すぎる。人を集めてからの方がいい。」
怜は呪術師の厄介さも怖さも分かっているから慎重になってる。でも。
「この黒い結界は奴が維持してる。多分、化紺先輩から追い出さないと外からの救援は望めないと思う。それに先輩の中に入って奴を倒せる人がそういるとは思えない。もしいるとしてもそれまでずっとどこかで拘束される、そんなことになったら先輩は苦しみ続けちゃう。だから行ってくる。」
俺は怜にしたように化紺先輩の首に噛みつこうとする。するとマナスが止まる。
「待ってください。」
「マナスも止めるの?」
俺はマナスも止めるのかと思ったが違うみたいで。
「私も連れて行ってください。私ならば雪さんと一緒に行けると思います。元々魂だけの存在ですから。」
「マナスが行くなら私も!」
千奈ちゃんも付いてくると言うがそれをマナスが止めた。
「千奈、私は魂さえ無事なら何度でも甦ることができます。そして私の魂はあなたと繋がっている。だからもし、何かあった時は千奈が私を引っ張ってこちらに引き戻してほしい。」
「私には、それしか出来ないの?」
「いえ、私は千奈が必ず助けてくれる。そう思えるからこそ安心して化紺先輩を助けに行けるんです。だから千奈、お願い。」
「うん、任せて!」
改めて俺は化紺先輩の首元に歯を立てる。マナスはどうするのかと思ったら体を魔力に戻して俺に纏ってきた。
「行ってくる!」
俺は化紺先輩の首に噛み付いて血を飲む。血に流れる魔力を辿って魂まで感知した事で俺は意識を失った。
◆
目を開けると以前見た魂の世界とは違う真っ黒な世界だった。その中である一点だけ白い場所を見つける。
「雪さん、おそらく化紺先輩です行きましょう!」
マナスの声がすると思って探すと俺の服が黒いドレスになっていてそれから声がしていた。
「うぇ!?マナスがドレスになってる!」
「魔力が足りなくて人の形になれませんでした。なので雪華の代わりに私が雪さんの防具になります!呪いには耐性があるので奴に対しては有効だと思います。」
「そっか、問題ないなら良かったよ。で、化紺先輩をどう助けるか、だね。」
俺はマナスと話しながら白い場所に歩いて行くと黒い鎖に拘束された少女を見つけた。
「化紺、先輩なのか?いや、取り敢えず助けないと。」
俺が簒奪刀を作って鎖を切ろうとすると俺たち以外の声が聞こえた。
「うわ、ここにまで入って来れるとかますます欲しいな。ねぇ、僕と一緒に来ない?」
見たことない少女だったけどこの胸糞悪い気配は奴だ。
「絶対に嫌。お前なんかと一緒に行くわけないだろ。それよりも化紺先輩を返してもらう!」
俺は簒奪刀を構えて呪術師に斬りかかる。が大鎌に防がれた。この鎌はーーーーーーー
「「クソ死神・・・!」」
怜と千奈ちゃんを苦しめたあの死神だった。
「雪さん、あの死神簒奪刀を防ぎました。もしかしたら私の強奪の魔刃と同じ効果があるのかも。」
確かに。前の死神は吸血効果で切れたけどさっきは切れなかった。もしかしてさっきの呪術師みたいに他の人の能力を使ってる時は使えないのか。
「ほら、悠長にしてていいの?先輩が苦しんでるよぉ?」
奴が煽ってくる。本来乗る必要もない挑発。だけどこいつだけは許せない!力があるのにそれを人が不幸になる方法で使う、それを見て楽しそうに笑ってる奴を倒さないと!
俺は簒奪刀を握りしめて死神を全力で吹き飛ばす。そのままやつの首を斬りつける。
が、鎌に防がれた。
なんでだ!?死神はまだあっちで倒れてる!まさか!
「2体目・・・」
奴の近くにはもう一体死神が待機していた。俺の一瞬の硬直を見逃さず吹っ飛ばされた死神が俺を両断した。
「生き、てる?」
俺は正直死んだと思ったが生きていた。
「雪さん!無事ですか!?」
よく見ると黒いドレスが無くなっていて元の服に戻っていた。
「何とか一撃だけ防ぎました!でももう一度は無理です!」
俺はマナスに感謝しつつ簒奪刀を握りしめて立ち上がる。
「んー?確実に斬ったと思ったんだけどなぁ。ま、いっか!2体で無理ならもう一体出すだけだからね?」
奴は子供が悪戯をするかのような顔で笑った。
迫り来る三体の
一体目が横薙ぎで的確に俺の首を刈り取ろうとしてくる。が狙いが分かりやすい。俺は姿勢を低くして横薙ぎを躱す。そのまますれ違い様に【凍血刀】を作って刺す。しばらくは凍って動けないはずだ!
残り2体!俺は鬼化してさらに加速する。【侵血】まだ使って全力を出す。
再び横薙ぎで今度は足を狙ってきた。速度を殺さないようにジャンプして避ける。
「二段構え!?あぐっ!」
飛んだ先に3体目の鎌が待ち受けていた。何とか血刀で防いだけど完全に止められてしまった。
その隙に一体目が俺を狙って鎌を振り下ろしていた。
「やばっ。」
逃げようとしたが足が黒い鎖で捕まって動けない!?奴が操作してるんだ!
マナスも防ぐのはもう無理だ!俺も間に合わない。万事休すか!?
「おい、雪。諦めてんじゃねぇぞ。」
全く攻撃が来ないと思ったら死神の鎌が凍りついていた。声がした方向を見るとあいつがいた。
「
「前も門開けたろうが。魂の世界だけの特例だけどな。とは言えもう3回も開けちまってるからしばらくは出てこれねぇ。」
「それでも助かった。ありがとう。」
「雪さん、この方は?」
あ、しまった。みんなにはこいつのこと黙ってたんだった。
「出来れば言わないでくれると助かる。それよりも
「おう、いいぞ。ただし・・・わかってるよな?」
「後で飲んどくよ・・・。」
「よっしゃ!なら俺はあの死神をどうにかしてやる。お前は気にせず突っ込め。」
「頼りにしてるよ。」
俺と
「雪!お前に渡した力ぁ本来の使い方を見せてやる!汝の業を凍結せん、【罪業氷結】」
後書き
新作を書き始めました!
日光浴したい私が吸血鬼!?〜レベルを上げるために私は今日もダンジョンに潜る〜
https://kakuyomu.jp/works/16817330651540224663
是非みにきてくれると嬉しいです!
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